
転んで頭を強く打ったとき、気がついたら怪我をする前のことが思い出せない…そんな経験をされたことや、身近な人がそうなって心配したことってありませんか?
映画やドラマでよく見るシーンですが、実際に自分や大切な人に起きると、本当に不安になりますよね。
「この記憶は戻ってくるのかな」「脳に何か大きなダメージがあったのかな」「病院に行った方がいいのかな」って、いろいろな心配が頭をよぎるかもしれません。
この記事では、頭を打って記憶が飛ぶ現象について、医学的な根拠に基づいて詳しく解説していきますね。
なぜ記憶が飛んでしまうのか、どのくらいで回復するのか、どんなときに注意が必要なのか、一緒に見ていきましょう。
頭を打って記憶が飛ぶのは「脳震盪」による「逆行性健忘」が原因です

頭を打って記憶が飛ぶ現象は、主に脳震盪による「逆行性健忘」と呼ばれる状態なんですね。
これは頭部外傷によって、怪我をする直前や直後の記憶が一時的に失われてしまう状態を指します。
多くの場合、数日から数週間で自然に回復することが期待できますが、直前の記憶は戻らないこともあるんです。
記憶を司る脳の「海馬」という部分の機能が一時的に停止したり、脳細胞の機能に障害が生じることで起こるとされています。
ほとんどのケースでは後遺症なく回復しますが、繰り返し頭を打つと脳損傷のリスクが高まるため、注意が必要なんですね。
なぜ頭を打つと記憶が飛んでしまうのか
脳震盪が記憶に影響するメカニズム
頭を打ったときに記憶が飛ぶのは、どうしてなのか気になりますよね。
脳震盪が起きると、脳が頭蓋骨の中で揺さぶられるような状態になります。
この衝撃によって、記憶を保存したり整理したりする役割を持つ「海馬」という部分の機能が一時的にストップしてしまうんですね。
海馬は脳の奥深くにある小さな器官ですが、私たちの記憶にとってはとても大切な場所なんです。
頭部への衝撃で脳細胞の機能に障害が生じると、新しい記憶を作ることも、少し前の記憶を保持することも難しくなってしまうんですね。
興味深いのは、画像検査(CTやMRI)では脳の損傷が見えないことも多いという点です。
見た目には異常がなくても、機能的なダメージが起きているかもしれないんですね。
逆行性健忘と前向性健忘の違い
頭を打ったときの記憶障害には、実は二つのタイプがあるんです。
逆行性健忘は、頭を打つ前の記憶が失われる状態です。
数時間前から、場合によっては数日前までの出来事が思い出せなくなることがあります。
例えば、交通事故に遭った方が、その日の朝のことや前日の夜のことを覚えていないというケースですね。
一方、前向性健忘は、怪我をした後の新しい出来事を記憶できない状態を指します。
病院で診察を受けたことや、お見舞いに来てくれた人のことを覚えられない、というような状態なんですね。
前向性健忘が続く場合は、高次脳機能障害の可能性も考えられるため、より慎重な経過観察が必要になります。
精神的ショックによる解離性健忘もある
もしかしたら意外かもしれませんが、頭を打ったときの記憶障害は、物理的なダメージだけが原因ではないんです。
交通事故や転落事故など、強い精神的ショックを伴う出来事では、心理的な防衛反応として「解離性健忘」が起きることもあるとされています。
これは脳が自分自身を守るために、辛い記憶を一時的に封印してしまうような状態なんですね。
解離性健忘の場合、頭部の物理的な損傷がなくても記憶が飛ぶことがあるんです。
心と体は密接につながっているということが、こういうときによくわかりますよね。
脳のどの部分が関係しているのか
記憶が飛ぶ現象には、脳のいくつかの部分が関わっています。
先ほどお話しした海馬はもちろんですが、それだけではないんですね。
頭部への衝撃が大きいと、「びまん性軸索損傷」という状態が起きることがあります。
これは脳の中の神経線維(軸索)が広範囲にわたって損傷を受ける状態で、より深刻な記憶障害や高次脳機能障害につながる可能性があるんです。
また、硬膜外血腫や硬膜下血腫など、頭蓋骨と脳の間に血液がたまる状態になると、脳が圧迫されて記憶機能にも影響が出ることがあります。
こうしたケースでは、早急な医療処置が必要になることもあるんですね。
頭を打って記憶が飛ぶ具体例
交通事故による脳震盪のケース
交通事故は、頭を打って記憶が飛ぶ原因として最も多いケースの一つなんですね。
例えば、バイクで転倒して頭を打った方が、気がついたら救急車の中で、「どうして自分がここにいるのか」「事故のことを全く覚えていない」という状況になることがあります。
事故の瞬間だけでなく、その日の朝の出来事や、前日の夜のことまで思い出せないこともあるんです。
WHOではMTBI(軽度外傷性脳損傷)の定義を強調していて、交通事故後の記憶障害は逆行性健忘と解離性健忘の両方の観点から注目されています。
多くの場合、数日から数週間で日常生活に戻れることが期待できますが、事故直前の記憶は戻らないことも少なくないんですね。
交通事故に遭われた方は、たとえ意識がはっきりしていても、必ず医療機関を受診することが大切です。
スポーツ中の頭部打撲による記憶障害
スポーツの現場でも、頭を打って記憶が飛ぶ事例は珍しくありません。
サッカーやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツでは、選手同士の衝突や転倒で頭を打つことがありますよね。
試合中に頭をぶつけた選手が、「今何セット目だったっけ」「さっきまで何をしていたんだろう」と混乱してしまうケースがあるんです。
スポーツ外傷での脳震盪は、繰り返し起きると脳損傷のリスクが高まるため、特に注意が必要とされています。
一度脳震盪を起こした後は、十分に回復するまで競技に復帰しないことが推奨されているんですね。
「ちょっとぶつけただけだから大丈夫」と軽く考えずに、適切な休養と医師の診断を受けることが大切なんです。
日常生活での転倒による記憶喪失
実は、特別な事故やスポーツでなくても、日常生活の中で頭を打って記憶が飛ぶことはあるんですよ。
階段から滑り落ちて後頭部を打った、お風呂場で転んで頭をぶつけた、といったケースですね。
高齢の方だと、ちょっとした段差につまずいて転倒し、頭を打ってしまうことも少なくありません。
「転んだことは覚えているけど、どうやって転んだのか思い出せない」「転ぶ前に何をしていたか記憶にない」という状態になることがあります。
日常生活での転倒でも、一時的な意識消失、頭痛、眠気などの症状が現れることがあるんです。
特に高齢の方や、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、頭の中で出血しやすいため、軽い転倒でも注意が必要なんですね。
「この程度なら大丈夫」と思わずに、心配な症状があればすぐに医療機関を受診することをおすすめします。
子どもの頭部打撲と記憶
小さなお子さんが頭を打つことも、親御さんにとっては本当に心配ですよね。
子どもは遊んでいる最中に転んだり、ぶつかったりすることが多いですから。
幼児の場合、記憶がまだ十分に発達していないこともあって、頭を打った後の状態を言葉で説明するのが難しいんですね。
「頭が痛い」と言えなかったり、何があったのか説明できなかったりします。
子どもが頭を打った後は、以下のような様子に注意してあげてください。
- いつもと違ってぼーっとしている
- 何度も同じことを聞く
- 嘔吐する
- 眠そうにしている
- 機嫌が悪く泣き続ける
こうした症状が見られたら、早めに小児科や救急を受診することが安心につながりますよね。
記憶はどのくらいで回復するのか
一般的な回復の経過
頭を打って記憶が飛んでしまったとき、一番気になるのは「この記憶は戻ってくるのかな」ということですよね。
ほとんどの場合、数日から数週間で自然に回復し、後遺症が残らないとされています。
これは本当に安心できる情報ですよね。
脳震盪による逆行性健忘では、時間の経過とともに徐々に記憶が戻ってくることが多いんです。
ただし、頭を打つ直前の数分から数時間の記憶については、完全には戻らないこともあるんですね。
例えば、事故の瞬間やその直前の出来事だけは、どうしても思い出せないまま、という感じです。
でも日常生活に支障が出るほどの大きな記憶障害は、多くの場合残らないとされていますので、過度に心配しすぎる必要はないかもしれませんね。
回復を早めるために大切なこと
記憶の回復を早めるために、私たちにできることはあるのでしょうか。
まず大切なのは、十分な安静と休養なんですね。
頭を打った後は、無理をせずにゆっくり休むことが何より大切です。
スマートフォンやパソコンの画面を見続けることも、脳に負担をかけることがあるので、しばらくは控えめにした方がいいかもしれません。
また、激しい運動やスポーツは、医師の許可が出るまで避けることが推奨されています。
特にスポーツで脳震盪を起こした場合は、症状が完全に消えてから段階的に競技に復帰することが大切なんですね。
焦らず、じっくりと体を休めることが、結果的には一番の近道になるんです。
記憶が戻らない場合もある
残念ながら、すべての記憶が完全に戻るわけではないんですね。
特に頭を打つ直前の記憶は、回復しても戻らないことが多いとされています。
これは「島状健忘」とも呼ばれる状態で、事故の前後数分から数時間の記憶だけが、ぽっかりと抜け落ちてしまうんです。
その前後の記憶はしっかりしているのに、その部分だけが思い出せない、という感じですね。
また、前向性健忘が続いて新しいことを覚えられない状態が長引く場合は、より深刻な脳損傷の可能性も考えられます。
こうしたケースでは、リハビリテーションや専門的な治療が必要になることもあるんですね。
どんな症状があれば病院に行くべきか
すぐに受診すべき危険なサイン
頭を打った後、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、気になりますよね。
以下のような症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶか、医療機関を受診することが推奨されています。
- 意識がない、または呼びかけに反応しない
- 激しい頭痛が続く
- 何度も嘔吐する
- けいれんが起きる
- 手足に力が入らない、しびれがある
- 瞳孔の大きさが左右で違う
- 耳や鼻から血や透明な液体が出る
- 会話がかみ合わない、混乱している
これらは脳挫傷や頭蓋内出血など、重症の頭部外傷を示すサインかもしれないんです。
特に高齢の方や、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を飲んでいる方は、軽い頭部打撲でも出血しやすいため、注意が必要なんですね。
様子を見ても良い場合と経過観察のポイント
一方で、軽い脳震盪の場合は、自宅で様子を見ることもできるんです。
以下のような状態であれば、慌てずに経過を観察することもできますよ。
- 意識ははっきりしている
- 頭痛があっても軽度で、徐々に良くなっている
- 吐き気があっても嘔吐は1回程度
- 会話が普通にできる
- 手足を普通に動かせる
ただし、頭を打った後24時間から48時間は、特に注意深く様子を見る必要があるんですね。
症状が悪化したり、新しい症状が出てきたりしたら、すぐに医療機関を受診してください。
夜間でも、心配な症状があれば遠慮せずに救急を受診することが大切なんです。
検査と診断について
病院を受診すると、どんな検査をするのか気になりますよね。
まずは問診で、どうやって頭を打ったのか、どんな症状があるのかを詳しく聞かれます。
そして必要に応じて、CTスキャンやMRI検査が行われることがあるんです。
これらの画像検査で、脳の出血や骨折、脳挫傷などがないかを確認します。
興味深いことに、脳震盪の多くは画像検査では異常が見つからないんですね。
「検査で異常なしって言われたけど、記憶が飛んでいるのに大丈夫なの?」と心配になるかもしれませんが、これは珍しいことではないんです。
医師は症状と経過から総合的に判断して、適切なアドバイスをしてくれますよ。
後遺症のリスクと予防について
繰り返しの脳震盪が危険な理由
一度の脳震盪ならほとんどの場合回復するんですが、繰り返し頭を打つと脳損傷のリスクが高まることがわかっているんです。
これは「セカンドインパクト症候群」とも呼ばれていて、特にスポーツ選手に注意が必要なんですね。
最初の脳震盪から完全に回復する前に再び頭を打つと、より重症の脳損傷を起こす可能性があるんです。
ボクシングやアメリカンフットボールなど、繰り返し頭部に衝撃を受けるスポーツでは、長年の蓄積で「慢性外傷性脳症(CTE)」という状態になることもあるとされています。
ですから、一度脳震盪を起こしたら、医師の許可が出るまで競技に復帰しないことが本当に大切なんですね。
高次脳機能障害への移行リスク
重症の頭部外傷では、高次脳機能障害という後遺症が残ることもあるんです。
これは記憶障害だけでなく、注意力や判断力、感情のコントロールなど、様々な脳の高度な機能に影響が出る状態なんですね。
硬膜外血腫や硬膜下血腫、脳挫傷などの重症例では、こうしたリスクが高まるとされています。
特に、びまん性軸索損傷のように広範囲の脳損傷がある場合は、注意が必要なんです。
高次脳機能障害は見た目にはわかりにくいため、「見えない障害」とも言われています。
社会復帰や日常生活に支障が出ることもあるため、専門的なリハビリテーションが大切になるんですね。
頭部外傷を予防するために
何より大切なのは、頭を打たないように予防することですよね。
日常生活でできる予防策をいくつかご紹介しますね。
- 自転車やバイクに乗るときは必ずヘルメットを着用する
- スポーツをするときは適切な防具を使う
- 自宅の階段や廊下に滑り止めをつける
- 浴室やトイレに手すりを設置する
- 床に物を置きっぱなしにしない
- 夜間の移動には照明をつける
- 雨や雪の日は特に足元に注意する
特に高齢の方がいらっしゃるご家庭では、転倒予防の環境づくりが本当に大切なんですね。
小さなお子さんがいる場合は、家具の角にカバーをつけたり、階段にゲートを設置したりすることも効果的ですよ。
まとめ:頭を打って記憶が飛んだら、まずは医療機関へ
頭を打って記憶が飛ぶ現象は、主に脳震盪による逆行性健忘が原因なんですね。
記憶を司る海馬の機能が一時的に停止することで、頭を打つ前後の記憶が失われてしまうんです。
ほとんどの場合、数日から数週間で自然に回復し、後遺症は残りませんが、頭を打つ直前の記憶は戻らないこともあります。
頭を打った後は、以下のポイントに注意してくださいね。
- 意識障害、激しい頭痛、繰り返す嘔吐などがあればすぐに受診
- 症状が軽くても24〜48時間は様子を注意深く観察
- 十分な安静と休養をとる
- 繰り返しの脳震盪を避けるため、回復するまで無理をしない
記憶が飛ぶという経験は本当に不安ですが、適切な対応をすれば多くの場合回復するということを覚えておいてくださいね。
ただし、重症の頭部外傷では高次脳機能障害などの後遺症が残ることもあるため、自己判断せずに医療機関を受診することが大切なんです。
もし頭を打ったら、遠慮せずに医療機関へ相談を
「この程度で病院に行くのは大げさかな」って思うこと、ありますよね。
でも、頭部外傷に関しては、「念のため」が本当に大切なんです。
特に記憶が飛んでいるということは、少なくとも一時的にでも脳に影響があったということですから。
もしあなた自身や大切な人が頭を打って記憶が飛ぶ経験をしたら、遠慮せずに医療機関に相談してくださいね。
夜間や休日でも、救急外来は対応してくれますし、電話相談できる窓口もありますよ。
「大丈夫だった」という安心を得るためにも、専門家の判断を仰ぐことは決して無駄ではないんです。
あなたとあなたの大切な人の健康が、何よりも大切ですからね。
この記事が、頭を打って記憶が飛ぶことへの不安を少しでも和らげて、適切な対処のお手伝いになれば嬉しいです。