
舌の付け根が片側だけ痛くなると、何か重大な病気なのではないかと不安になってしまいますよね。
しかし、実は軽い口内炎ややけどから、まれですが神経痛やがんなど、原因は非常に幅広いのです。
この記事では、舌の付け根が片側だけ痛くなる主な原因から、受診が必要な危険なサインまでを詳しく解説します。
また、自宅でできる基本的なケアや受診の目安についても紹介しますので、症状に応じた対応が取れるようになるでしょう。
舌の付け根の片側の痛みは、ほとんどが軽症だが長引く場合は医師の診察が必要です

結論から申し上げると、舌の付け根が片側だけ痛い場合のほとんどは、やけどや噛み傷による口内炎などの軽症で、1~2週間で自然に治ります。
しかし、数日~1週間以上痛みが続く、しこりや飲み込みにくさが伴う、体重が減少しているなどの場合は、より重大な病気の可能性があり、早めに歯科口腔外科または耳鼻咽喉科への受診が勧められます。
舌の付け根が片側だけ痛くなる理由
軽症で比較的よくある原因
①物理的刺激(やけど・誤って噛んだ傷)
熱い食べ物でのやけど、箸や歯ブラシ、固い食べ物が舌の付け根に当たって傷がつくことが最も一般的な原因です。
舌の付け根は細くて柔らかい部分なので、ちょっとした刺激でも傷がつきやすくなっています。
傷ができた直後は痛みもそこまで強くないことが多いのですが、そこに細菌が入ると口内炎に進行し、痛みが強くなることもあります。
通常は数日~1週間ほどで自然に軽快しますが、悪化したり長期化したりする場合は受診が必要です。
②口内炎(アフタ性口内炎・水疱性口内炎)
舌の付け根や側面に小さな白い、または赤い潰瘍や水疱ができ、片側だけ痛むことがあります。
これはアフタ性口内炎や水疱性口内炎と呼ばれるもので、複数の原因が考えられます。
- 噛み傷ややけどなどの小さな傷
- ビタミンB群不足(特にB2・B6・B12)や鉄分の不足
- ストレス、疲労、寝不足による免疫力低下
- 口腔内の乾燥やドライマウス
- 口腔ケア不足や喫煙
通常は1~2週間で治癒しますが、繰り返し何度も口内炎ができる場合は、全身疾患や栄養障害がないか検査が必要になることもあります。
③風邪・新型コロナ・扁桃炎などの咽頭炎
風邪や新型コロナなどの呼吸器感染症で、喉の奥の炎症が舌の付け根周辺まで広がり、痛みを感じることがあります。
このような場合は、のどの痛みだけでなく、発熱、咳、全身の倦怠感も伴うことが多いです。
また、扁桃炎の場合も、扁桃の炎症が舌根部に及んで、同様の痛みを引き起こします。
通常は原因となっている感染症が治まれば、舌の付け根の痛みも消えていきます。
片側の付け根の痛みで注意すべき重大な病気
①舌咽神経痛
舌の付け根から喉、耳にかけて片側に電撃痛のような強い痛みが走る神経痛です。
非常に激しい痛みが特徴で、患者さんの生活の質を大きく損なうことがあります。
- 痛みの特徴:電撃的で、ズキズキとした強烈な痛み
- 痛みの誘発因子:嚥下(飲み込み)、会話、咳、あくびなど
- 原因:舌咽神経が血管などに圧迫されることが主な原因
- 症状の位置:多くは片側だけです
治療としては、カルバマゼピンなどの神経障害性疼痛薬による薬物治療が行われることが多いです。
症状が強い場合や薬物治療で効果がない場合は、原因血管を離す手術が検討されることもあります。
②舌がん・中咽頭がん(舌根部のがん)
舌の付け根は中咽頭に含まれる部位であり、この部分にできるがんが舌根部の痛みの原因になることがあります。
初期段階では痛みだけで、見た目の変化があまり目立たないこともあるため注意が必要です。
特徴的な所見として以下が挙げられます。
- 片側の痛みが長く続く
- 舌や喉の奥にしこりや硬い隆起がある
- 潰瘍が見られる
- 舌が動かしにくい、飲み込みにくい感覚
- 耳に響くような痛みがある
- 出血や口臭がある
- 体重が減少している
- 頸部(首)のリンパ節が腫れている
がんのリスクが高まる因子としては以下が知られています。
- 喫煙・多量飲酒:最大の危険因子
- HPV感染:特に中咽頭がんのリスクが高い
- 口腔ケア不足:歯周病や虫歯による慢性刺激
- 合わない義歯や歯並びの悪さ:同じ部分への繰り返しの刺激
「2週間以上続く片側の痛み+しこり・潰瘍」がある場合は、視診・触診・画像検査(CT、MRI)・必要に応じて生検を含めた精査が非常に重要です。
歯や歯ぐき、義歯が原因のケース
虫歯が欠けて尖った部分が舌の付け根に当たり、局所的な口内炎や潰瘍をつくって痛みが出る場合があります。
また、以下のような口腔内の問題も舌の付け根の痛みの原因になります。
- 合わない義歯(入れ歯):同じ部分が繰り返し擦れて痛みが出る
- 歯並び・噛み合わせの問題:特定の部位への継続的な刺激
- 歯周病・歯周炎の進行:炎症が周囲の組織に波及して痛みとして感じられる
このような場合は、原因となっている虫歯の治療や義歯の調整、歯周病の治療を行うことで症状が改善することが多いです。
全身状態や生活環境に関連する要因
舌の付け根の痛みは、お口の中の問題だけでなく、全身の状態や生活環境とも大きく関わっています。
- ビタミンB群不足:特にB2・B6・B12の不足は舌の炎症・痛みの一因になる
- 鉄欠乏:貧血も舌の炎症と関連がある
- ストレス・睡眠不足・疲労:免疫力が低下して、口内炎やヘルペスの再活性化を誘発しやすくなる
- 口の乾燥(ドライマウス):粘膜バリアが弱まり、炎症や痛みを起こしやすくなる
- 喫煙・過度の飲酒:粘膜の防御機能が低下する
これらの要因を改善することで、舌の付け根の痛みが予防・軽減される場合が多いです。
舌の付け根が片側だけ痛い場合の具体例
具体例1:熱いスープでやけどをした30代会社員の男性
症状:昼食時に熱いスープを飲んだ直後から、舌の付け根の左側がヒリヒリと痛くなった。
経過:その晩は痛みが強く、冷たい水を飲むとやや楽になるように感じた。3日目には痛みが軽くなり始め、1週間で完全に治った。
対応:受診はせず、自宅で刺激物を避けて様子を見た。
このようなケースは、原因が明らかで軽度のやけどであり、数日で改善傾向が見られるため、自宅での対応で十分なことがほとんどです。
具体例2:小さな口内炎で2週間以上痛みが続いた50代女性
症状:舌の付け根の右側に小さな白い潰瘍ができ、痛むようになった。
経過:市販の口内炎薬を使ったが、2週間たっても痛みが消えない。むしろ少し大きくなったような気がする。
対応:歯科口腔外科を受診したところ、典型的な口内炎と診断され、原因の詳しい検査は不要と判断された。栄養状態の改善と定期的なフォローアップで、その後徐々に改善した。
この例では、長く続く口内炎でしたが、医師の診察により悪性疾患が除外されました。
「長く続く=危険」とは限りませんが、医師の判断を仰ぐことが重要です。
具体例3:舌咽神経痛と診断された60代男性
症状:舌の付け根から耳にかけて、ある日突然ズキズキとした強い痛みが走るようになった。
特徴:飲み込むときやあくびをするたびに、電撃的な激しい痛みが起こる。痛みは常に片側のみ。
対応:耳鼻咽喉科を受診し、診察と問診から舌咽神経痛と診断。カルバマゼピンという神経障害性疼痛薬を処方され、症状が大幅に改善した。
このようなケースでは、痛みの性質と場所、誘発因子が診断の大きな手がかりになります。
医師への正確な症状説明が非常に重要です。
舌の付け根が片側だけ痛いときの受診の目安
すぐに受診した方がよいサイン
以下のような場合は、歯科口腔外科または耳鼻咽喉科への早めの受診が勧められます。
- 片側の痛みが1~2週間以上続いている
- 舌やのどの奥にしこりや硬い部分、潰瘍が触れる、または見える
- 飲み込むとき強く痛む、食べ物が飲み込みにくい
- 耳に響くような痛みがある(舌咽神経痛やがんの可能性)
- 発熱、強い咽頭痛、膿、全身のだるさを伴う(扁桃炎など)
- 体重が減少している、または食事量が減っている
- 声がかすれている、または嗄声がある
- 首のリンパ節がしこりのように腫れている
- 痛みが電撃的で、話す・飲み込むなどで誘発される(舌咽神経痛が疑わしい)
軽症で様子を見てもよい可能性があるケース
以下の場合は、自宅で様子を見ても問題ないことが多いですが、悪化したり長期化したりしたら受診してください。
- 明らかなやけどや噛んだなど原因がはっきりしており、軽度で、数日で改善傾向がある
- 典型的な小さな口内炎が1~2個だけで、1~2週間以内に治ってきている
- 風邪の症状に伴う喉の痛みで、風邪の回復と同時に改善傾向が見られている
自宅でできる基本的ケア
医師の診察までの間、または軽症の場合に自宅で実践できる対処法をご紹介します。
ただし重症や長引く場合は自己判断に頼らず受診が必要です。
食事・飲食面での工夫
- 刺激物を避ける:辛い食べ物、熱い食べ物、冷たすぎる食べ物、アルコール、酸味の強い食べ物(柑橘類など)
- 栄養バランスの改善:特にビタミンB群(B2・B6・B12)と鉄を含む食事を心がける
- 水分補給:口の乾燥を防ぐため、定期的に水を飲む
口腔ケア
- 清潔を保つ:歯磨きやうがいで口腔内を清潔に保つ(しみない程度にやさしく)
- 歯ブラシの選択:柔らかい歯ブラシを使い、患部に当たらないよう注意
- 含嗽液の使用:薬局で購入できる医療用うがい薬を使うのも効果的
生活習慣の改善
- 十分な睡眠:1日7~8時間の質の良い睡眠を心がける
- ストレス軽減:軽い運動、瞑想、アロマテラピーなど自分に合った方法を実践
- 喫煙・飲酒を控える:特に痛みがある期間は控えることが大切
市販医薬品の活用
軽症の場合、以下のような市販医薬品が役立つことがあります。
ただし使用しても改善しない場合は医師に相談してください。
- 口内炎用塗り薬:患部に直接塗布して痛みを軽減
- 口内炎用パッチ:患部を覆って保護し、痛みを軽減
- 口内炎用うがい薬:定期的なうがいで清潔を保つ
舌の付け根の片側の痛みについてのまとめ
舌の付け根が片側だけ痛い場合は、軽い口内炎ややけどなどの軽症がほとんどですが、稀に舌咽神経痛やがんなど見逃したくない病気のサインになることもあります。
症状の経過と特徴を整理すると、適切な対応が取れるようになります。
- 原因がはっきりしていて、数日で改善傾向がある場合:自宅でのケアで対応可能
- 1~2週間以上続いている、または悪化している場合:医師の診察が必要
- しこり・潰瘍・飲み込みにくさ・体重減少などがある場合:早めの受診が重要
- 電撃的な痛みで、飲み込みやあくびで誘発される場合:神経痛の可能性があるため医師の診察が必要
また、症状がある場合は以下の情報を整理しておくと、医師への説明がより正確になり、診断の助けになります。
- 痛みがいつから始まったか(日数や日付)
- どのような場面で痛いか(飲み込み時、常時、特定の動作時など)
- 痛みの性質(ズキズキ、ヒリヒリ、電撃的など)
- 見た目の変化があるか(しこり、潰瘍、腫れなど)
- 他の症状の有無(発熱、咳、体重減少など)
- 考えられる原因(やけど、噛んだ、特に思い当たらないなど)
背中を押す一言
舌の付け根の片側の痛みは、確かに不安ですよね。
しかし、ほとんどの場合は軽症で、時間とともに改善します。
大切なのは「気になったら医師に相談する勇気」です。
「たかが舌の痛み」と放置するのではなく、いつもと違う症状に気がついたら早めに診察を受けることが、実は最短で問題を解決する近道になります。
数日で改善していく軽症なら医師も「経過観察で大丈夫ですね」と安心させてくれますし、万が一重大な病気だったとしても、早期に発見できれば治療の選択肢も増えます。
「様子を見ようか」と迷ったときは、気軽に歯科口腔外科または耳鼻咽喉科に相談してみてください。
医師はあなたの症状を丁寧に診察し、その結果に基づいた適切なアドバイスをくれます。
痛みなく快適な毎日を取り戻すために、今一歩を踏み出してみませんか。