
実は、治療中であっても歯医者を変える権利があり、それは決して珍しいことではありません。
この記事では、歯医者を途中で変える際に知っておくべき重要なポイント、カルテ引継ぎの方法、そして医院を変える際の注意点について詳しく解説します。
あなたの疑問をすべて解決し、納得できる歯科治療を受けるための判断材料をお届けします。
歯医者は途中で変えても大丈夫

結論から申し上げますと、歯医者を途中で変えることは完全に合法で、何の制限もありません。
患者には治療を受ける医院を自由に選択する権利があり、どのタイミングで医院を変更しても医療上・法律上の問題は生じないのです。
むしろ、セカンドオピニオンを求めるケースは医療現場でも一般的な行為として認識されています。
納得できない治療方針や、医師との信頼関係が築けない場合は、新しい歯医者を探すことは完全に正当な選択肢なのです。
ただし、スムーズな医院変更のためには、いくつかの準備と手続きが必要です。
以下のセクションで、その詳細について詳しく説明していきます。
歯医者を途中で変える理由
実際に、多くの患者が歯医者を途中で変えています。
その背景には、さまざまな理由があります。
患者側の主な理由
- 治療方針への不信:医師の説明が不十分、または治療方針に疑問を感じる場合
- 医院の通院しにくさ:立地が不便、診療時間が合わない、予約が取りにくい
- 医師との相性:医師の態度や説明方法が自分に合わない
- スタッフの入れ替わり:担当の歯科衛生士が変わったり、スタッフの対応に不満を感じる
- 治療費の問題:料金が高い、保険診療を希望したいなど
- 引っ越し:住所が変わり、新しい地域での医院を探す必要が生じた
医院側の人材流動性
実は、患者の都合だけでなく、医院側のスタッフ変動も医院の変更を促す大きな要因になっています。
2020年の日本歯科衛生士会調査によると、歯科衛生士の約8割が転職経験を持っているとされています。
この数値は1999年の約5割から大幅に増加しており、スタッフの流動性が年々高まっていることがわかります。
また、2024年の厚生労働省医師・歯科医師・薬剤師統計によると、病院・診療所の歯科医師のうち、50代以上が約6割を占めているという高齢化傾向も見られます。
高齢歯科医師の退職増加が見込まれることで、医院の体制が大きく変わる可能性があり、これが患者の医院変更を促すケースも増えています。
歯医者を変える際に重要なカルテ引継ぎの手続き
歯医者を途中で変える際で最も重要な手続きが、カルテの引継ぎです。
スムーズな治療継続のためには、この手続きを正しく行うことが不可欠です。
カルテ開示請求の方法
患者には医療法により、自分の医療記録を見ることができる権利があります。
以下のステップで、前の医院からカルテを取得しましょう。
- 医院に連絡:前の歯医者に電話またはメールでカルテ開示を希望することを伝えます
- 申請書の記入:医院から渡される「診療情報開示請求書」などの書類に必要事項を記入します
- 本人確認書類の提出:免許証やマイナンバーカードなど、身分を証明する書類が必要な場合があります
- 手数料の支払い:通常、開示手数料(500円~1,000円程度)が必要です
- カルテの受け取り:指定期日に医院を訪問し、カルテのコピーやデータを受け取ります
カルテに含まれる重要な情報
歯科医のカルテには、新しい医院での診療に非常に重要な情報が記録されています。
- 治療済みの歯とその治療内容
- 現在治療中の歯の進捗状況
- X線検査(レントゲン)の画像記録
- 既往症や薬物アレルギーの記録
- 使用した材料や薬剤の種類
- 医師の治療計画と今後の予定
これらの情報を新しい医院に引き継ぐことで、重複検査を避け、治療の効率性を確保できます。
新しい医院へのカルテ持参の方法
カルテを受け取ったら、以下の方法で新しい医院に引き継ぎます。
- 紙のカルテ:初診時に新しい医院に直接提出、またはメールで送付
- デジタルデータ:CDやUSBメモリで受け取った場合は、新しい医院に渡します
- X線画像:デジタル化されていない場合は、フィルムのまま持参することもできます
初診時に「前医からの紹介です」と伝え、カルテを提出すると、医院側がスムーズに対応してくれます。
歯医者を途中で変える際の具体的なパターン
例1:治療方針への不信で医院を変更するケース
虫歯治療で医院を訪れた患者が、医師から「抜歯が必要」と診断されたとします。
しかし、その説明が不十分で、なぜ抜歯が必要なのか理解できなかったとしましょう。
このような場合、セカンドオピニオンを求めることは医療現場でも推奨されている行為です。
別の医院を訪れて、同じ診断を受けるか、別の治療法が可能かを確認することは決して失礼ではありません。
セカンドオピニオン先の医院で「保存的な治療が可能」と診断された場合、その医院で治療を継続することも、元の医院で確認することもできます。
重要なのは、患者が納得できる治療方針を選択する権利があるということです。
例2:スタッフの入れ替わりで医院を変更するケース
長年通院していた歯医者で、担当の歯科衛生士が急に変わってしまったというケースがあります。
歯科衛生士の転職率が高い(約80%)という統計データからも、このような状況は珍しくありません。
新しい衛生士の技術レベルに不安を感じたり、コミュニケーションが上手くいかなかったりする場合、医院全体を変えることも一つの選択肢です。
特に、これから長期間の治療が必要な場合は、信頼できるスタッフが揃っている医院を選び直すことは理にかなった判断といえます。
この際、カルテを引き継ぐことで、それまでの治療経過を新しい医院が理解できるため、スムーズな診療の継続が可能です。
例3:通院の利便性で医院を変更するケース
転職に伴って職場の場所が変わり、現在の医院への通院が困難になったというケースもよくあります。
朝の時間帯に予約が取れない、夜間診療がない、駐車場がないなど、生活スタイルの変化によって不便が生じることは誰もが経験する可能性があります。
このような場合、根本的な医療の問題ではなく、通院利便性の問題であるため、新しい医院への変更は完全に正当な理由です。
特に、虫歯や歯周病の治療は継続性が重要であるため、継続通院できる医院を選ぶことは治療結果にも大きく影響します。
新しい医院の近くで、かつ通院しやすい時間帯に診療している医院を選ぶことで、治療のコンプライアンス(指示遵守)を向上させることができます。
歯医者を途中で変える際の注意点
治療の中断期間を最小限にする
歯医者を変える際で最も注意すべきポイントが、治療の中断期間を長くしないことです。
治療中の歯を放置すると、以下のようなリスクが生じます。
- 虫歯がさらに深く進行し、神経まで達する可能性
- 仮封材(仮の詰め物)が脱落し、細菌が侵入するリスク
- 根管治療(神経の治療)中の場合、感染のリスク増加
- 治療期間が延長され、費用が増加する可能性
理想的には、前の医院での最後の治療から1週間以内に新しい医院で診察を受けることが推奨されます。
事前に新しい医院に連絡する
カルテを持参して初診を受ける場合、事前に電話で「前医からの転院です」と伝えておくと、医院側がスムーズに対応できます。
この一言で、医院側は患者が継続的な治療を求めていることを理解し、カルテの確認や必要な検査の準備をしておいてくれます。
また、初診時の問診票では、「なぜ医院を変えたのか」という理由を聞かれる場合があります。
正直に答えることで、新しい医院側が患者のニーズをより正確に理解でき、より適切な治療計画を立てることができます。
前の医院との関係を悪化させない
医院を変えるという判断をしても、前の医院のスタッフに対して失礼な態度を取る必要はありません。
むしろ、丁寧にカルテ開示請求を行い、明確な理由を説明することで、プロフェッショナルな関係を保つことができます。
医療業界は意外と狭い世界です。
新しい医院の医師が前の医院の医師と知り合いである可能性も少なくありません。
良好な関係を保つことで、前の医院の医師から新しい医院への引き継ぎもスムーズになります。
歯医者を選び直す際のポイント
医院選びのチェックリスト
新しい医院を選ぶ際には、以下のポイントを確認することが重要です。
- 医師の資格と経歴:専門分野、勤続年数、学会への所属など
- 医院の設備:最新の診療機器、個室の診察室など
- スタッフの対応:電話対応の丁寧さ、来院時の印象
- 診療方針の説明:初診時に治療計画を詳しく説明してくれるか
- 通院の利便性:立地、診療時間、駐車場の有無
- 口コミと評判:ネット上の評価も参考にしつつ、過度に依存しない
- 保険診療の対応:自費診療の割合、患者の希望を尊重しているか
初診時に確認すべき事項
新しい医院を訪れた際には、以下のことを確認しておくと、その後の治療がスムーズに進みます。
- 前の医院でのカルテが正しく転送されたか
- 現在の歯の状態と前医の診断に相違がないか
- これからの治療計画が丁寧に説明されたか
- 質問に対して、医師が丁寧に答えてくれたか
- 治療費の見積もりが明確に提示されたか
医院変更の際の心理的な不安を解消する
医院を変える際に、多くの患者は心理的な不安を感じます。
しかし、その不安は完全に払拭することができます。
「医院を変えるのは申し訳ない」という罪悪感
医院を変えることに対して、申し訳ないという気持ちを持つ患者も多いでしょう。
しかし、患者には医院を選択する自由があるという点を心に留めておいてください。
医院側も、患者が自分の意思で医院を選択することを当然のこととして認識しています。
特に、セカンドオピニオンを求めるケースは医療現場で一般的です。
自分の健康と治療に対して納得できるまで追求することは、患者の正当な権利なのです。
新しい医院への不安
新しい医院でも、丁寧にカルテを引き継ぎ、医師に自分の不安や疑問を伝えることで、信頼関係を築くことができます。
初診時の丁寧な説明は、その医院の信頼性を判断する大きな材料になります。
もし初診時の説明に不満を感じたら、その医院もまた変えることができます。
患者には何度でも医院を選び直す権利があるということを忘れずに。
歯医者を途中で変える際の実務的なスケジュール
医院を変える際の実務的なスケジュール例を提示します。
| タイミング | 実施内容 |
|---|---|
| 1日目 | 前の医院に「次週以降、別の医院に変わります」と電話で連絡 |
| 2日目 | 前の医院から「カルテ開示請求書」を取得(郵送可能な場合もあり) |
| 3日目 | カルテ開示請求書に記入し、手数料を添えて前の医院に提出 |
| 4~5日目 | 新しい医院を調査し、初診予約を取得(カルテの準備状況を確認) |
| 6日目 | 前の医院からカルテを受け取る |
| 7日目 | 新しい医院で初診(カルテを持参し、スムーズな引き継ぎを実現) |
このスケジュール例を参考に、各自の状況に合わせて調整してください。
まとめ:歯医者の途中変更は正当な選択肢
歯医者を途中で変えることについて、その背景にある法律、医療慣行、そして実務的な手続きについて詳しく解説してきました。
ここで重要なポイントをまとめます。
- 歯医者を途中で変えることは法的・医療的に完全に合法で、患者の自由です
- セカンドオピニオンは医療現場で推奨される一般的な行為です
- カルテの引き継ぎを丁寧に行うことで、治療の継続性と効率性を確保できます
- 歯科衛生士の高い転職率や高齢歯科医師の増加により、患者側のニーズが変わることは自然なことです
- 治療の中断期間を最小限にすることが、最も重要な注意点です
- 新しい医院選びの際には、医師の対応、説明の丁寧さ、通院利便性などを総合的に判断することが重要です
医院を変更する際には、一時的な心理的不安を感じるかもしれません。
しかし、自分の健康と治療に対して納得できる選択をすることは、長期的な歯の健康につながります。
あなたの判断を応援します
現在の歯医者での治療に不安や違和感を感じているのであれば、それは重要なシグナルです。
患者が感じる違和感や不信感は、理由のない感情ではなく、何か対処すべき問題がある可能性を示唆しているのです。
この記事で説明した通り、医院を変えることは決して珍しいことではなく、多くの患者が同様の判断をしています。
あなたが納得できる治療を受けるためのステップを踏み出すことは、まったく失礼なことではありません。
もし医院を変えることを決めたら、以下のアクションを取ってみてください。
- 今週中に、前の医院にカルテ開示を依頼する電話をしてみる
- 信頼できそうな新しい医院を2~3軒リサーチしてみる
- 新しい医院に電話して、初診の雰囲気を感じてみる
- もし違和感があれば、別の医院も検討してみる
あなたの歯の健康と人生における快適さは、医院選びにかかっています。
納得できる治療を受けるために、今この瞬間から行動を始めてみませんか?
完璧な医院は存在しないかもしれません。
しかし、あなたの要望にしっかりと耳を傾け、丁寧に説明し、信頼関係を築こうとする医院は確実に存在します。
そのような医院との出会いを求めて、一歩踏み出す勇気を持ってください。
あなたの健康と笑顔を守ることは、あなた自身の権利であり、そのための最善の医院選びは、あなた自身の判断を信頼することから始まります。