
歯がしみて、その痛みがずっと続いているのに悩んでいませんか? 知覚過敏だと思い込んでいても、実はむし歯や神経の炎症など別の病気かもしれません。 この記事では、知覚過敏の本来の痛みの特徴と、「ずっと痛い」場合に考えられる病気、そして対処法をわかりやすく解説します。 受診すべき目安や、歯を守るための行動が明確になりますので、ぜひご覧ください。
知覚過敏は「ずっと痛い」ものではない

歯がしみるような痛みを感じると、多くの人が「知覚過敏かな」と考えます。 しかし、知覚過敏の痛みは本来、短時間で終わるものです。
正式には象牙質知覚過敏症と呼ばれる知覚過敏は、冷たい飲食物や歯ブラシの刺激が加わった瞬間にしみて、 数秒から長くても1分以内におさまる一過性の痛みというのが典型的な特徴なのです。
もし以下のような症状が当てはまれば、知覚過敏ではなく別の病気の可能性が高いと考えられています。
- 何もしていないのに痛む
- 刺激を受けた後も痛みが1分以上続く
- ずっと、または頻繁に痛む
- 夜間に痛くて目が覚める
- 痛みがだんだん強くなっている
これらの場合は、歯科医院で原因をしっかり調べてもらう必要があります。
「ずっと痛い」場合に考えられる病気
知覚過敏だと思っていても、実は別の病気が隠れていることがあります。 「ずっと痛い」という症状から考えられる主な病気を見ていきましょう。
むし歯の進行(歯髄炎)
むし歯が進行する過程では、痛みの出方が段階的に変わっていきます。
初期段階
むし歯が浅い段階では、冷たいものや甘いもので一時的にしみる程度です。 この時点では知覚過敏と区別しにくい場合もあります。
進行段階
むし歯が象牙質に進むと、温かいものでもしみるようになります。 そして、むし歯が神経(歯髄)に近づくにつれて、自発痛(何もしなくても痛む)が出始めます。
重症段階
神経が炎症を起こす歯髄炎の状態では、 持続的でズキズキとした痛みが生じます。 ひどい場合は眠れないほどの痛みになることもあります。 温かいものでより強く痛むのが特徴です。
歯の神経の炎症(歯髄炎・根尖性歯周炎)
むし歯以外にも、歯の神経が炎症を起こすことがあります。
- 歯髄炎:歯の神経そのものが炎症を起こした状態
- 根尖性歯周炎:歯の根の先にある組織が炎症を起こした状態
これらの場合、 強い持続的な痛みや拍動性の痛み(脈を打つような痛み)が特徴です。 噛むと痛い、歯ぐきが腫れた、頬が腫れてきたなどの症状を伴うこともあります。
歯のひび割れ(クラックトゥース)
歯が細くひび割れている状態を、クラックトゥースと呼びます。
見た目からは判断しにくいのですが、 噛んだときに強く痛むという特徴があります。 痛みが続く場合もあり、知覚過敏と勘違いされることがあります。
治療後のトラブル
以前に歯の治療を受けた場合、その治療が原因で痛みが続くこともあります。
- 詰め物や被せ物が神経に近い、または触れている
- 金属の詰め物で熱が伝わりやすくなっている
- 根の治療がきちんとできていない
このような場合は、治療を行った歯科医院に相談するか、別の歯科医院でセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。
知覚過敏と他の病気の見分け方
自分で確認できるポイント
歯科医院に行く前に、以下のポイントを確認しておくと、診断の役に立ちます。
痛みの持続時間
- 知覚過敏:数秒~1分以内で落ち着く
- 他の病気:1分以上続く、または常に痛む
刺激との関連性
- 知覚過敏:冷たいもの、甘いもの、ブラシなどの刺激で痛む。刺激がなくなると落ち着く
- 他の病気:何もしなくても痛む。温かいもので痛むこともある
痛みの質
- 知覚過敏:「キーン」と鋭い痛み
- 他の病気:「ズキズキ」「ジンジン」という拍動的な痛み
その他の症状
- 歯ぐきや頬が腫れている
- 噛むと特に痛い
- 特定の歯が痛い(複数の歯ではない)
- 痛みが日ごとに強くなっている
すぐに歯科医院に行くべきサイン
以下のような症状がある場合は、できるだけ早期に歯科受診を強くおすすめします。
- しみる・痛みが1分以上続く
- 何もしていなくても痛む、夜間も痛くて寝づらい
- 痛みがだんだん強くなっている
- 噛むと痛い、歯ぐきが腫れている
- 頬が腫れてきた、または違和感がある
- 市販鎮痛薬で一時的に治まっても、繰り返し痛む
これらの症状がある場合、むし歯や神経の炎症など、 放置すると歯を失う可能性のある病気が進行しているかもしれません。
歯科医院ではどんな治療が行われるのか
痛みの原因によって、治療方法は異なります。
知覚過敏が原因の場合
- 知覚過敏対応の歯磨き剤の指導と処方
- フッ化物(フッ素)やコーティング材の歯面塗布
- 露出した象牙質や歯ぐき退縮への処置
- 噛み合わせの調整やマウスピースの装着
むし歯が原因の場合
- むし歯の部分を除去して詰め物をする
- 進行したむし歯には被せ物が必要な場合もある
- 神経に達したむし歯は、神経の処置(根管治療)が必要
歯の神経炎症が原因の場合
- 神経を取る処置(抜髄)
- 根の治療(根管治療)
- 必要に応じて抜歯
重要なのは、できるだけ早期に診察を受けることです。 診断が早ければ早いほど、治療の選択肢は広がり、 歯を残せる可能性も高まります。
受診までの間にできる一時的な対策
痛みが続いていて、すぐに歯科医院に行けない場合、 以下の対策で一時的に対応することができます。
歯磨きの工夫
- やわらかめの歯ブラシを使う
- 力を入れすぎず、やさしく磨く
- 横磨きをしすぎない(円を描くように磨く)
歯磨き粉の選択
知覚過敏対応の歯磨き粉を使用することで、 ある程度の症状緩和が期待できます。
- 硝酸カリウム配合の製品
- フッ化物配合の製品
食べ物・飲み物の工夫
- 冷たい飲食物を避ける
- 甘い食べ物やジュースを控える
- 硬い食べ物は避け、温かい食べ物を心がける
市販鎮痛薬の利用
痛みが強い場合は、市販の鎮痛薬で一時的に対応することもできます。 ただし、これはあくまで「つなぎ」であり、 必ず歯科医院で原因を調べてもらう必要があります。
具体例を通じた理解
具体例1:知覚過敏だと思っていたが、むし歯だった
症状:冷たい物でしみる痛みが続く
30代女性は、冷たいアイスを食べるとしみるため、知覚過敏だと自分で判断していました。 しかし、1か月以上痛みが続き、さらに何もしなくても夜間にズキズキ痛むようになったため、 歯科医院を受診しました。
検査の結果、実は進行したむし歯が神経に近づいており、 歯髄炎を起こしていたことが判明しました。 早めに受診しなければ、神経を取る処置が必要になるところでした。
この場合、むし歯の部分を除去して詰め物で治療が完了し、 現在は痛みなく過ごしています。
具体例2:治療後の痛みが続いていた
症状:歯の詰め物をした後から、その歯がずっと痛む
40代男性は、数か月前に被せ物をした歯が、その後ずっと痛み続けていました。 被せ物の下にあるむし歯が完全に除去されておらず、 進行が続いていたことが原因でした。
被せ物を外して改めて治療を行い、神経の処置を施すことで、 痛みは完全に消えました。 治療から数か月たって痛みが出た場合は、処置が不十分な場合もあります。
具体例3:歯のひび割れによる痛み
症状:特定の歯で噛むと痛む
50代女性は、奥歯で噛むと鋭い痛みが走るため、むし歯かと思い歯科医院を受診しました。 検査の結果、見た目には何もないように見えましたが、 実は歯が細くひび割れていました(クラックトゥース)。
このような場合は、被せ物で補強することで、痛みを軽減させることができます。 放置すると、ひび割れが進行して抜歯が必要になる可能性もあります。
歯科医院選びのポイント
痛みが続いている場合は、信頼できる歯科医院で診察を受けることが重要です。
診断を大切にしている医院
- 詳しく症状を聞いてくれる
- レントゲン検査など、必要な検査をしてくれる
- 診断結果と治療方針を丁寧に説明してくれる
複数の選択肢を提示してくれる医院
- 治療方法が1つだけでなく、複数の選択肢を示してくれる
- それぞれのメリット・デメリットを説明してくれる
- 患者さんの希望を尊重してくれる
不安な場合はセカンドオピニオン
提示された治療方針に不安がある場合は、 別の歯科医院でセカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。
知覚過敏を予防するための対策
知覚過敏になるのを予防するためには、日常的なケアが重要です。
正しい歯磨き習慣
- やわらかめの歯ブラシを使う
- 強くこすらない(力加減に注意)
- 1日2回、1回につき2分以上かける
歯ぐきの健康維持
歯ぐきが退縮すると象牙質が露出しやすくなります。
- 歯周病予防に力を入れる
- プラークコントロールを丁寧に行う
- 定期的に歯科検診を受ける
食生活の改善
- 酸性の強い飲食物(柑橘類、炭酸飲料など)を控える
- 甘い食べ物の摂取を減らす
- 硬い食べ物で歯に過度な負担をかけない
定期検診
定期的に歯科医院で検診を受けることが、 知覚過敏だけでなく、むし歯や歯周病の早期発見につながります。
もまとめ:「ずっと痛い」は知覚過敏ではない可能性が高い
この記事で最も重要な点をまとめます。
- 知覚過敏は一過性の痛み:刺激が加わった時だけしみて、数秒~1分以内におさまるのが特徴
- 「ずっと痛い」場合は別の病気:むし歯、歯髄炎、歯のひび割れなどの可能性が高い
- 放置は危険:症状が進行すると、神経を取る処置や抜歯が必要になる可能性がある
- 早期診断が重要:1分以上痛みが続く場合は、できるだけ早く歯科医院を受診するべき
- 自己判断は避ける:見た目では判断できない病気もあるため、専門医の診察が必要
「ずっと痛い」「何もしなくても痛む」という症状は、 あなたの歯が何らかのトラブルを起こしているサインです。
今すぐ行動を:歯を守るために
もし現在、「知覚過敏かもしれない」という名目で痛みを我慢しているなら、 それは危険な判断かもしれません。
特に以下に当てはまる場合は、できるだけ早期に歯科医院を受診してください。
- 痛みが1分以上続く
- 何もしなくても痛む
- 痛みが強くなっている
- 市販薬で一時的に治まっても繰り返し痛む
歯の問題は、放置すれば放置するほど、治療が複雑になり、 治療期間も長くなり、費用も増える傾向にあります。
早期に正しい診断を受けることが、あなたの歯を守る最善の方法です。
今この瞬間の判断が、数年後のあなたの歯の状態を大きく左右するかもしれません。 「ずっと痛い」という違和感を感じたら、今週中に歯科医院の予約を取ることをおすすめします。
あなたの大切な歯を守るため、そしてこの痛みから解放されるため、 勇気を持って歯科医院の門を叩いてください。 必ず、改善の道は開けています。