
膝を強打したあと、曲げるたびに痛みが走る経験をされたことはありませんか?
そのような痛みを感じるのは、決して珍しいことではありません。
しかし、その原因は多くの場合、数日で軽快する打撲だけではなく、骨折や靭帯損傷、半月板損傷といった重い外傷が隠れていることもあるため、症状の見極めが非常に重要です。
この記事では、膝を強打して曲げると痛くなる理由から、危険なサイン、適切な対処法、そして受診の目安まで、詳しく解説していきます。
症状が軽いからと放置せず、正確な診断を受けることで、将来的な膝の障害を防ぐことができます。
膝を強打して曲げると痛いのは、複数の原因が考えられます

膝を強打して曲げると痛い場合、その原因は一つではありません。
軽度の打撲なら数日で改善することが多いのですが、症状の種類によっては医療機関での診断が必須になります。
一般的には、痛みの強さ、腫れの程度、可動域の制限といった症状から、どの程度の損傷かをある程度推測することができます。
しかし、見た目では判断できない内部損傷も多いため、症状が続く場合は必ず整形外科を受診することが大切です。
膝を強打したときに起きる主な原因を詳しく解説
1. 軟部組織(筋肉・靭帯・脂肪体)の打撲・損傷
膝を強打した場合、最も多いのが軟部組織の損傷です。
皮膚の下にある筋肉、靭帯、脂肪体といった組織が衝撃で傷つき、炎症や内出血が起こります。
- 表面にあざがなくても、深部で内出血していることがある
- 腫れや炎症が神経を刺激して、曲げると痛むようになる
- 多くの打撲は数日から2週間程度で軽快することが多い
通常、このような打撲は数日で徐々に改善していきます。
しかし、腫れが強かったり、痛みが続いたりする場合は、内部損傷がないか確認する必要があります。
2. 膝蓋骨(お皿)周囲の障害
膝のお皿である膝蓋骨やその周囲の組織も、強い衝撃の対象になりやすい部位です。
膝蓋骨周囲に損傷が生じると、曲げ伸ばしのたびに痛みや違和感が出やすくなります。
- 膝蓋骨の滑走障害(動きのズレ)が生じることがある
- 強い衝撃では膝蓋骨骨折の可能性もある
- 骨折の場合、押すと激痛や歩行困難が生じる
膝蓋骨に問題がある場合は、階段の上り下りや椅子から立ち上がるときなど、特定の動作で痛みが強くなる傾向があります。
3. 関節内出血・関節内血腫
膝の内部に血液がたまる関節内出血は、非常に厄介な症状です。
ぶつけた直後よりも、数時間から半日後に腫れが強くなるのが特徴です。
- 関節がパンパンに腫れて、曲げ伸ばしがしづらくなる
- 強い痛みや可動域制限が出ることがある
- 靭帯損傷や骨折を伴うこともある
関節内出血がある場合は、整形外科への受診が強く推奨されます。
関節内に血液がたまったままにしておくと、後々の関節機能に悪影響が出る可能性があります。
4. 靭帯損傷(前十字靭帯・後十字靭帯・側副靭帯など)
膝にはいくつかの靭帯があり、これらが損傷すると膝を伸ばしたり曲げたりする動作で強い痛みが出ます。
- 膝がぐらつく、不安定感や「抜ける感じ」を伴う
- 捻挫程度から部分断裂、完全断裂まで重症度がある
- 重症度により、保存療法か手術かが決まる
靭帯損傷は見た目では判断しにくいため、MRIなどの画像検査が必要になることが多いです。
5. 半月板損傷
膝関節内のクッションである半月板が傷つく半月板損傷も、膝強打による重大な外傷の一つです。
- 曲げ伸ばし時の痛みや引っかかり感がある
- 「ロッキング」(途中でカクッと止まって動かない)が特徴
- 放置すると軟骨摩耗が進み、変形性膝関節症のリスクが高まる
半月板損傷は初期段階では軽い症状でも、放置するとより深刻な膝関節の問題につながります。
6. 骨折(脛骨上端・膝蓋骨など)
強い衝撃による膝周辺の骨折も考えられます。
軽い骨折の場合、歩けることもあるため発見が遅れることがあります。
- 押すと局所的な強い痛みがある
- 体重をかけたときに激痛が走る
- はっきりした腫れや変形が目安
骨折が疑われる場合は、放置すると関節の機能に大きな支障が出るため、すぐに整形外科を受診する必要があります。
打撲と他の重い外傷を見分けるポイント
軽度の打撲が多い場合の特徴
症状が比較的軽い単純な打撲の場合、以下のような特徴があります。
- 動かすと痛いが、可動域は比較的保たれている
- 腫れは軽度から中等度で、数日で軽快傾向を示す
- 押した痛みはあっても、ぐらつき感がない
靭帯・半月板・骨折などを疑うべき危険なサイン
以下の症状に当てはまる場合は、重大な外傷の可能性が高いため、すぐに整形外科を受診してください。
- 曲げ伸ばしで強い痛み、ロッキング、引っかかり感がある
- 膝がパンパンに腫れて曲げにくい(関節内出血の可能性)
- 体重をかけられない、歩けない状態
- 膝がぐらつく、不安定感が強い
- 打撲から2~3日たっても痛みがほとんど改善しない、むしろ悪化している
- 膝が明らかに変形している、膝蓋骨がずれた感じがある
膝強打による痛みへの正しい対処法
受傷直後から数日間の自宅での対処(RICE療法)
RICE療法は、膝を強打したときの基本的な応急処置です。
以下の4つの要素から成り立っています。
安静(Rest)
痛みが強い動きは避けて、膝を動かさないようにしましょう。
むやみに動かすと、内出血がさらに進むことがあります。
冷却(Ice)
受傷直後から48時間程度は、保冷剤や氷で冷却することが重要です。
凍傷防止のため、必ず布を挟んでから使用してください。
- 1回15~20分の冷却が目安
- 2~3時間おきに繰り返す
- 48時間を過ぎたら、温かいお風呂や温湿布に切り替える
圧迫(Compression)
軽い弾性包帯などで膝を圧迫することで、腫れを抑えることができます。
ただし、締めすぎると血行障害が生じるため注意が必要です。
挙上(Elevation)
膝を心臓よりやや高く挙上させることで、重力の作用で余分な液体が流れやすくなり、腫れを抑えられます。
市販薬の使用について
市販の痛み止めや湿布は、一時的な痛み軽減には有用です。
しかし、これらは症状を緩和するだけで、重症外傷を治すものではありません。
症状が続く場合や危険サインがある場合は、医療機関への受診を優先してください。
膝強打での具体的な事例と対処法
事例1:軽度の打撲で改善した場合
状況:階段から足を踏み外して膝をぶつけた
症状:ぶつけた直後は痛く、軽い腫れがあったが、翌日には腫れが引き始めた。歩行は可能で、押したときに若干の痛みはあるが、曲げ伸ばしは比較的自由にできる。
対処:RICE療法を2~3日行い、軽く弾性包帯で圧迫。4日目にはほぼ痛みが消失し、1週間後に完全に回復した。
解説:この場合は典型的な軽度打撲で、自宅での適切なケアで十分に改善しました。
事例2:関節内出血が疑われた場合
状況:交通事故で膝を強く打った
症状:ぶつけた直後は軽い痛みだったが、2~3時間後に膝が急激に腫れ始め、パンパンになった。曲げ伸ばしが大きく制限され、強い痛みを感じるようになった。
対処:すぐに整形外科を受診。レントゲン検査で骨折がないことを確認したが、MRI検査で靭帯部分損傷と関節内出血が判明。3週間のリハビリと圧迫療法で改善した。
解説:関節内出血を伴う場合、放置すると関節機能に悪影響が出るため、早期の医療機関受診が重要です。
事例3:半月板損傷が隠れていた場合
状況:スポーツ中に膝をひねりながら強打した
症状:初期段階では打撲と思い込み、自宅でケアをしていた。しかし、10日経っても痛みが残り、曲げるときに引っかかり感を感じるようになった。
対処:整形外科を受診してMRI検査を実施。半月板の部分損傷が判明し、数か月のリハビリと経過観察が必要になった。1年以上経過観察を続けることになった。
解説:半月板損傷は初期段階では軽い症状でも、放置すると変形性膝関節症に進行するため、早期診断が重要です。
整形外科を受診すべき状態と検査内容
すぐに受診が推奨される状態
以下のいずれかに該当する場合は、できるだけ早く整形外科を受診してください。
- 膝が大きく腫れ、熱感があり、曲げ伸ばしがほとんどできない
- 体重をかけると激痛で歩けない、または引きずるほど痛い
- 明らかな変形、膝蓋骨がずれた感じ、関節がロックして動かない
- 打撲後2~3日以上経っても痛みや腫れが改善せず、むしろ悪化している
- 高齢者や骨粗鬆症がある場合(骨折リスクが高い)
整形外科での診断方法
整形外科では、問診と触診に加え、以下のような検査で詳しい診断を行います。
- レントゲン検査:骨折の有無を確認する基本検査
- MRI検査:靭帯、半月板、軟骨などの軟部組織を詳しく確認
- 超音波検査:関節内出血の程度や炎症を評価
- 徒手検査:医師による特定の動作で靭帯や半月板の損傷をスクリーニング
膝強打後の痛みを放置したときのリスク
半月板・靭帯・軟骨損傷の長期的な影響
膝の重大な外傷を放置すると、変形性膝関節症に移行しやすいことが指摘されています。
- 関節の不安定性が続く
- 軟骨摩耗が加速度的に進む
- 5~10年後に膝関節の変形が顕著になることがある
関節内出血を繰り返すリスク
治療が不十分だと、関節内出血を繰り返す可能性があります。
- 関節軟骨の障害が進む
- 将来の機能障害のリスクが増える
- 早期の関節炎症につながる
受診までの目安と症状別の対応
軽度の症状の場合
軽度の痛みと軽い腫れのみで、歩行が可能な場合:
- 1~2日様子を見ても大丈夫
- RICE療法を実践する
- 改善傾向があれば自宅ケアを継続
- 3日以上痛みが続く場合は受診
強い症状がある場合
「危険サイン」に1つでも当てはまる場合:
- できるだけ早く整形外科を受診する(理想は当日中)
- 不安が強い場合も無理せず受診する
- 診断を確定させることで、最適な治療が開始できる
膝を強打して曲げると痛い場合の最終的な判断
膝を強打して曲げると痛い場合、その原因は多岐にわたります。
軽度の打撲なら数日で改善することが多いのですが、重い外傷が隠れている可能性も決して無視できません。
特に、腫れが強い、痛みが続く、可動域が制限されるといった症状がある場合は、早期に整形外科で診断を受けることが重要です。
正確な診断により、適切な治療が開始され、将来的な膝の障害を防ぐことができます。
症状が軽いからと放置するのではなく、不安を感じたら迷わず医療機関に相談することをお勧めします。
膝の痛みを解決するために今日からできること
膝を強打したあと、痛みや違和感を感じているあなたへ。
その症状は、決して「様子見」だけで改善するとは限りません。
もし痛みが軽ければ、RICE療法で対処することから始めてください。
しかし、腫れが大きい、痛みが続く、歩くのが辛いといった症状がある場合は、今すぐ整形外科を受診してみてください。
早期診断により、治療期間が短くなることもあれば、後遺症のリスクを大きく減らすことができます。
膝は毎日使う重要な関節です。
今の症状を軽視せず、プロの医師に見てもらうことで、より良い未来を手に入れることができます。
膝の痛みで困っているなら、まずはお近くの整形外科に相談してみることをお勧めします。
あなたの膝の健康を取り戻すために、一歩踏み出してみませんか。