
「単なる打撲だから大丈夫」と思っていませんか?
実は、膝の強打による歩行時の痛みには、打撲だけでなく靱帯損傷や半月板損傷、さらには骨折が隠れている可能性があります。
この記事では、膝を強打して歩くと痛い場合の原因を丁寧に解説し、どんなときに病院へ行くべきか、自宅でできる対処法は何か、を実践的にお伝えします。
読み終わったとき、あなたは膝の痛みの正体を理解し、適切な対応ができるようになっているはずです。
膝を強打して歩くと痛いのは、内部損傷がないか確認が必須です

膝を強打したあとに歩くと痛い場合、その原因は単純な打撲から靱帯・半月板損傷、さらには関節内骨折まで幅広い可能性があります。
特に注意が必要なのは、「歩けてしまう=骨折ではない」という思い込みです。
軽い骨折や関節内の損傷でも、人によっては歩行が可能な場合があり、放置すると症状が悪化することもあります。
痛みが数日から1週間以上続く、または悪化する場合は整形外科の受診が推奨されています。
適切な診断を受けることで、深刻な後遺症を防ぎ、早期回復につながる可能性が高まります。
膝を強打して歩くと痛い原因は何か?
主な原因となる5つの損傷パターン
膝を強打したときの痛みは、損傷の種類や深さによって異なります。
以下は、膝の強打による主な原因です。
1. 打撲(打ち身)
膝を強打したときの痛みとして最も多いのが打撲です。
転倒やぶつけた直後に、皮膚や筋肉などの軟部組織が損傷し、内出血(青あざ)、腫れ、痛みが生じます。
特に脈打つようなズキズキした鋭い痛みは、内出血や炎症、骨膜が刺激されていることが原因とされています。
多くの打撲は、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)と時間経過で改善しますが、深部に血腫ができると痛みが長引くこともあります。
2. 靱帯損傷
膝を強打したときに、同時に膝をひねったり、不自然な方向に曲がったりした場合、靱帯損傷の可能性があります。
前十字靱帯や内側側副靱帯などの損傷が該当します。
特徴的な症状は「膝がグラグラする」「膝が急に崩れる(膝崩れ)」といった不安定感です。
スポーツ外傷としても多く見られており、早期の診断と治療が重要です。
3. 半月板損傷
膝のクッションの役割を果たす半月板が、転倒や衝撃で損傷すると、独特の症状が出現します。
典型的な症状は以下の通りです。
- 膝の引っかかり感や違和感
- カクカク、コリコリするような感覚
- 曲げ伸ばし時の痛み
- 膝に水がたまる(関節液の増加)
- 階段の昇降が辛い
- 小走りができない
- 正座がつらい
特に注意すべき点は、半月板損傷を放置すると変形性膝関節症へ進行する可能性があることです。
若いうちから対処することで、長期的な膝の健康を守ることができます。
4. 関節内血腫(関節内の出血)
強い衝撃により、膝の関節内に血液が溜まる状態を関節内血腫といいます。
この場合、膝がパンパンに腫れ、曲げ伸ばしが著しく困難になります。
炎症の四徴候(痛み・腫れ・熱感・赤み)が見られ、通常の打撲とは異なる強い症状を呈します。
膝の腫れが著しい場合は、早期の医療機関受診が必要です。
5. 骨挫傷・膝関節内骨折(不顕性骨折)
意外と見落とされやすいのが、骨挫傷や膝関節内骨折(不顕性骨折)です。
これらは、レントゲン検査で最初は写らないことがあります。
「何日たっても痛みや腫れが引かない」という場合、実は脛骨や大腿骨のひび(関節内骨折)が隠れていることがあります。
骨挫傷でも膝をひねったりぶつけたあとに強い痛みや腫れが出現することがあり、注意が必要です。
歩くと痛い場合に考えられる理由
歩行や膝の曲げ伸ばしで痛みが増す場合、膝の内部組織(軟骨・半月板・靱帯・骨など)に負担がかかっている状態が考えられます。
歩くときだけでなく、以下のような動作で痛む場合は、半月板損傷や変形性膝関節症などの可能性が高まります。
- 階段を上り下りするとき
- しゃがむときやしゃがんだ状態から立ち上がるとき
- 正座をするとき
- 膝を曲げたり伸ばしたりする動作全般
重要なポイントは、「歩ける=骨折ではない」とは限らないということです。
軽い骨折でも歩行が可能な場合があり、自己判断は危険です。
膝を強打して歩くと痛いときの危険なサイン
以下のような症状がある場合は、早期に整形外科を受診することが推奨されています。
すぐに受診すべき症状
- 膝がパンパンに腫れている、曲げ伸ばしがかなりつらい → 関節内血腫や関節内損傷の可能性
- 歩くと強い痛みが続く、数日~1週間で明らかな改善がない → より重い損傷が隠れている可能性
- 膝がグラグラする、不安定で「膝崩れ」が起きる → 靱帯損傷が疑われます
- 引っかかり感・カクカク感・ロック(途中で動かなくなる) → 半月板損傷の特徴的症状
- 痛む部分を押すと強い圧痛があり、体重をかけると特に痛い → 骨挫傷や骨折の可能性
- 発熱を伴う、膝が赤く熱を持つ腫れ → 強い炎症や感染の可能性
- 転倒・スポーツなど、はっきりした外傷後に症状が出ている → 外傷性の損傷である可能性が高い
上記の症状が見られる場合は、自宅での様子見は避け、整形外科へ早めに受診してください。
放置することで症状が悪化し、慢性的な痛みや機能障害につながる可能性があります。
整形外科での検査方法
整形外科では、症状に応じて以下のような検査が行われます。
- レントゲン検査:骨折の有無を確認するための基本的な検査
- MRI検査:半月板や靱帯など軟部組織の詳細な評価に有用。骨挫傷の診断にも役立ちます
- 超音波検査:関節内の血腫や軟部組織の損傷を評価
膝を強打して歩くと痛いときの自宅での対処法
受傷直後から数日間の初期対応は、適切な処置が症状の改善速度を大きく左右します。
一般的な対処はRICE処置が基本です。
RICE処置の詳細
安静(Rest)
痛みの出る動作や長時間の歩行、ランニング、階段の昇降を避け、膝に負担をかけないことが重要です。
特に受傷直後の3~5日間は、なるべく膝を動かさないようにしましょう。
冷却(Ice)
氷嚢や保冷剤をタオル越しに当て、1回15~20分程度、間隔をあけて繰り返します。
特に受傷直後24~48時間は、定期的に冷却することで、腫れと痛みを緩和できます。
直接肌に氷を当てるのは避け、必ずタオルを間に挟んでください。
凍傷のリスクがあります。
圧迫(Compression)
弾性包帯やサポーターで軽く圧迫し、腫れを抑えます。
ただし、締めすぎると血液循環が悪くなり、かえって症状を悪化させるため注意が必要です。
「圧迫されている感覚はあるが、苦しくない」程度の強さが目安です。
挙上(Elevation)
横になって膝を心臓より少し高くしておくと、重力の作用で腫れが引きやすくなります。
クッションや枕を膝の下に置き、膝の高さを心臓より10~15cm高くするのが効果的です。
市販薬の使用
市販の痛み止めや湿布は、一時的な対症療法としては有効なことが多いです。
ただし、原因となる損傷の有無を確認することが何より重要です。
痛みが軽くなったからといって、内部損傷が治ったわけではないことを認識しておきましょう。
RICE処置は「急性期(受傷直後~1週間程度)」の対処法です。
1週間以上経っても症状が改善しない場合は、医学的な評価が必須です。
膝を強打して歩くと痛い場合の具体例
具体例1:階段昇降時の痛みと半月板損傷
会社から帰宅時に階段を踏み外し、膝を強打してしまった場合を考えます。
翌日からは歩くことはできるが、階段を上り下りするときに膝の内側に強い痛みを感じるようになったとします。
この場合、膝関節内の半月板が損傷している可能性が高いです。
初期段階では「階段のときだけ痛い」という限定的な症状ですが、数週間放置すると、通常の歩行時にも痛みが出始めることが多いです。
適切な対応:
- 受傷後3~5日間、RICE処置を行う
- 痛みが引かない場合、整形外科を受診
- MRI検査で半月板損傷を確認
- 診断に基づいて、保存療法(リハビリテーション)または手術を検討
この段階で医療機関を受診することで、変形性膝関節症への進行を防ぐことができます。
具体例2:膝の不安定感と靱帯損傷
スポーツ中に相手選手と衝突し、膝を強打してしまった場合を想定します。
直後は痛みがあるものの、何とか歩けるため医療機関を受診しなかったとします。
その後、歩くときに「膝がグラグラしている感覚」「突然膝が崩れそうになる」といった症状が出現します。
これは、靱帯損傷(特に前十字靱帯損傷)の典型的な症状です。
適切な対応:
- 膝のぐらつきを感じたら、すぐに整形外科を受診
- 膝の安定性テスト(ラックマンテスト、前方引き出しテストなど)で靱帯損傷を評価
- MRI検査で損傷の程度を確認
- スポーツ活動の内容に応じて、保存療法か手術を決定
靱帯損傷を放置すると、膝の関節全体に負担がかかり、二次的な軟骨損傷へと進行するリスクが高まります。
具体例3:強い腫れと関節内血腫
自宅で転倒し、膝を強打してしまったケースを考えます。
受傷直後から数時間で、膝がパンパンに腫れて、曲げ伸ばしがほぼ不可能になったとします。
この場合、関節内血腫が起こっている可能性が高いです。
膝関節内に血液が溜まった状態で、単純な打撲とは異なります。
適切な対応:
- 迷わずに整形外科を受診(できれば当日中)
- 血腫の吸引治療を検討(関節穿刺で血液を吸引することで、症状緩和が期待される)
- レントゲンやMRI検査で、隠れた骨折や軟部組織損傷を確認
- リハビリテーションで膝の可動域を回復させる
関節内血腫は、対処が遅れるほど、その後の膝機能回復が困難になる傾向があります。
強い腫れを認めた場合は、早期の医療介入が重要です。
膝を強打して歩くと痛い症状が慢性化した場合
受傷後から数週間~数か月経っても、以下のような症状が続く場合があります。
- 歩くと痛みが出る
- 階段・小走り・正座ができない
- 引っかかり感やカクカク感が続く
この場合、半月板損傷や変形性膝関節症など、関節内部の状態が悪化している可能性があります。
放置することで、関節全体に負担が偏り、若くても変形性膝関節症に進行することが報告されています。
慢性的な痛みが続く場合は、以下の対応が推奨されます。
- 整形外科で画像検査(特にMRI)を受ける
- 治療方針(リハビリテーション、注射療法、手術など)を医師と相談
- 物理療法やストレッチで膝周囲の筋力強化を行う
整形外科受診時に伝えると良いポイント
診察の際に以下のような情報を整理しておくと、医師の診断に役立ちます。
- 受傷状況:いつ、どのように膝を強打したか(転倒の状況、スポーツ種目など)
- 痛みの場所:膝の前、内側、外側、裏など、どこが痛いか
- 痛みの性質:ズキズキした痛み、重い感じ、刺すような痛みなど
- 症状を悪化させる動作:歩行、階段昇降、しゃがむ、正座など、どの動作で特に痛むか
- その他の症状:腫れ、熱感、赤み、膝のぐらつき、引っかかり感の有無
- 受傷前の膝の病歴:以前の半月板損傷、靱帯損傷、変形性膝関節症など
- 症状の経過:受傷直後から現在までの痛みや腫れの推移
これらの情報を記録しておくことで、診察がスムーズに進み、より正確な診断につながります。
膝を強打して歩くと痛いときの予防・再発防止
膝周囲の筋力強化
膝を支える大腿四頭筋やハムストリングス(太ももの筋肉)が弱いと、膝への負担が増加します。
以下のような簡単なエクササイズが効果的です。
- スクワット:週3~4回、1セット15回
- レッグプレス:膝に優しい筋トレマシン
- 大腿四頭筋のストレッチ:毎日5分程度
体重管理
体重が増加すると、膝にかかる負担も増えます。
適正体重の維持は、膝関節への負担軽減に有効です。
運動中の装具使用
スポーツ時やハイリスク活動時に、膝サポーターやテーピングを使用することで、膝への衝撃を緩和できます。
膝を強打して歩くと痛い場合のまとめ
膝を強打して歩くと痛い場合、その原因は打撲だけではなく、靱帯損傷、半月板損傷、関節内血腫、骨挫傷、骨折など多岐に渡ります。
重要なポイントは以下の通りです。
- 歩ける=安全ではなく、内部損傷が隠れている可能性がある
- 痛みが数日~1週間以上続く場合は、整形外科受診が推奨される
- RICE処置は初期対応として有効だが、根本的な原因確認が必須
- 膝のぐらつき、引っかかり感、強い腫れなどは危険なサイン
- 慢性的な痛みは変形性膝関節症へ進行する可能性がある
- 早期診断・治療で、長期的な膝の健康を守ることができる
自分の膝の症状をしっかり観察し、必要に応じて医療機関に相談することが、最適な回復への近道です。
膝の痛みで迷ったときは、プロの診察を受けることをお勧めします
膝を強打して歩くと痛い状況は、想像以上にストレスフルなものです。
「すぐに治るだろう」と思って様子を見ていたが、結果的に症状が悪化してしまった、というお話も珍しくありません。
あなたの膝の痛みが、本当に心配のいらないものなのか、それとも医学的な対応が必要なのか、判断に迷ったときは、自分で抱え込まず、整形外科医に相談してみてください。
わずか15~20分の診察で、不安が大きく軽くなることもあります。
膝は歩行や日常生活の基本となる関節です。
今この瞬間に正確な診断を受けることで、数ヶ月後、数年後の膝の状態は大きく変わる可能性があります。
「まだ大丈夫かな」という迷いがあるなら、それは受診のサインかもしれません。
膝の健康を大切にしていただき、一日も早い回復をお祈りしています。