
口の中に唾液が溜まりすぎて、頻繁に飲み込まないと溢れてしまう唾液過多の症状は、日常生活に大きな支障をきたします。
人前で話すときも気になってしまい、睡眠中に枕が濡れてしまうような方もいらっしゃいます。
実は、唾液過多には明確な原因があり、適切なアプローチを取ることで症状を改善することが可能です。
この記事では、中医学の観点から見た根本原因の理解から、具体的な改善方法、日常生活での対策まで詳しくご紹介します。
正しい知識を身につけて実践することで、唾液過多による不快感から解放され、安心して日常生活を送れるようになります。
唾液過多を止める最も効果的な方法

唾液過多を止める最も効果的な方法は、原因に応じた脾胃機能の改善と食事習慣の見直しです。
中医学では、唾液過多は主に脾胃の機能異常によって起こるとされており、根本的な解決には体質改善が必要です。
具体的には、以下の3つのアプローチを組み合わせることが重要です。
- 脾胃機能を整える中医学的治療
- 唾液分泌を刺激する食べ物の制限
- 口腔環境の改善と衛生管理
これらを適切に実践することで、症状の根本的な改善が期待できます。
なぜ唾液過多が起こるのか?その根本原因
脾胃機能異常が主な原因
中医学では、唾液過多の最も大きな原因を脾胃機能の異常と考えています。
脾胃は消化吸収を司る重要な臓腑で、ここの機能が低下すると水液代謝に異常が生じます。
特に以下のような症型が唾液過多を引き起こします。
- 脾陽虚寒:脾の陽気が不足し、寒気が溜まった状態
- 胃寒脾湿:胃に寒気、脾に湿気が蓄積した状態
- 脾腎陽虚:脾と腎の陽気が共に不足した状態
これらの状態では、体内の水分代謝がうまく働かず、唾液が過剰に分泌されてしまいます。
食事と生活習慣による誘発要因
日常の食事や生活習慣も、唾液過多を悪化させる重要な要因です。
刺激の強い食べ物は唾液腺を直接刺激し、分泌量を増加させます。
特に以下のような食品は注意が必要です。
- 酸味の強い食品(レモン、酢の物、柑橘類)
- 辛味の強い食品(唐辛子、胡椒、わさび)
- 甘味の強い食品(砂糖、甘いお菓子)
- 炭酸飲料
また、疲労や睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、副交感神経が過剰に働いて唾液分泌が増加します。
口腔環境の問題
虫歯や歯周病などの口腔内の炎症も唾液過多の原因となります。
口の中に異物感や不快感があると、それを洗い流そうとして唾液分泌が活発になります。
さらに、口呼吸による口の渇きを補おうとして、一時的に大量の唾液が分泌されることもあります。
唾液過多を止める具体的な方法
中医学的治療による体質改善
中医学では、個人の症型に合わせた対症下薬の治療が行われます。
各症型に対する主な処方例をご紹介します。
脾陽虚寒タイプの治療
このタイプは唾液が清くて薄く、頻繁に分泌される特徴があります。
主な処方薬には以下があります。
- 党参(とうじん):脾気を補い、消化機能を高める
- 白朮(びゃくじゅつ):脾を健やかにし、湿を除く
- 乾薑(かんきょう):温中散寒、脾胃を温める
- 砂仁(しゃじん):気を理し、胃を和らげる
この処方により、温中散寒・健脾益気の効果で唾液分泌が正常化されます。
胃寒脾湿タイプの治療
朝起きたときの唾液過多が特に気になるタイプです。
主な処方薬は以下の通りです。
- 党参・白朮:脾胃機能を強化
- 茯苓(ぶくりょう):利水滲湿、脾を安らげる
- 法夏(ほうげ):化痰止嘔、胃気を降ろす
- 陳皮(ちんぴ):理気健脾、湿を化す
滲湿止嘔の効果で、特に朝の唾液過多症状が改善されます。
食事習慣の改善による対策
日常の食事を見直すことで、唾液分泌をコントロールできます。
避けるべき食品
唾液分泌を刺激する食品を控えることが重要です。
- 酸味の強い調味料(酢、レモン汁など)
- 香辛料を多用した料理
- 冷たすぎる飲み物や食べ物
- アルコール類
これらの食品を避けるだけでも症状の軽減が期待できます。
積極的に摂りたい食品
脾胃の機能を高める食品を積極的に摂取しましょう。
- 地瓜(さつまいも):脾胃を補い、気を益す
- 大棗(なつめ):脾胃を安らげ、血を養う
- 薏仁(はとむぎ):脾を健やかにし、湿を除く
- 蓮子(はすの実):脾腎を補い、心を安らげる
- 山薬(やまいも):脾肺腎を補う
- 栗子(くり):腎を補い、脾胃を強化
また、繊維豊富な野菜や果物も口腔内のpHバランスを整えるのに役立ちます。
- りんご:自然の酸味で口腔を清潔に保つ
- にんじん:ビタミンAが口腔粘膜を健康に保つ
- セロリ:繊維質が唾液分泌を適正化
口腔衛生管理の徹底
口腔環境を清潔に保つことで、不必要な唾液分泌を抑制できます。
毎日の歯磨きは朝晩2回、丁寧に行いましょう。
特に以下の点に注意してください。
- 歯と歯茎の境目を重点的に磨く
- デンタルフロスで歯間の汚れを除去
- 舌苔のケアも忘れずに行う
- 定期的な歯科検診を受ける
虫歯や歯周病を予防することで、唾液分泌異常を低減できます。
実際の改善事例から学ぶ効果的なアプローチ
事例1:61歳男性の脾陽虚寒タイプの改善例
長年にわたって唾液過多に悩まされていた61歳の男性の事例です。
症状の特徴は以下の通りでした。
- 唾液が清稀で量が多い
- 特に寒い季節に症状が悪化
- 疲れやすく、手足が冷える
- 食欲不振と消化不良
中医学的診断では脾陽虚寒と判断され、温中散寒・健脾益気の治療が行われました。
処方された主な薬剤は党参、白朮、乾薑、砂仁で、同時に生冷食物を避ける食事指導も受けました。
治療開始から3ヶ月で症状が大幅に改善し、日常生活に支障がなくなりました。
事例2:53歳男性の胃寒脾湿タイプの改善例
朝の唾液過多が特に気になっていた53歳男性の事例です。
主な症状は以下のようでした。
- 起床時の大量の唾液分泌
- 口の中がねばねばする感じ
- 胃のもたれと食後の不快感
- 舌苔が厚く白い
胃寒脾湿の診断のもと、滲湿止嘔の治療方針が立てられました。
党参、白朮、茯苓、法夏、陳皮を中心とした処方で治療を開始。
湿気の多い食べ物や冷たい飲み物を控え、温熱性の食事を心がけました。
2年間の継続治療で症状が完全に緩解し、再発も防げています。
事例3:食事改善による速やかな症状軽減例
薬物治療と並行して食事改善に取り組んだ事例をご紹介します。
30代女性で、仕事のストレスから唾液過多が悪化していました。
まず刺激物の摂取を完全に停止しました。
- コーヒーから麦茶への変更
- 香辛料を使わない料理への切り替え
- 酸味の強い食品の除去
- 冷たい飲み物の禁止
同時に脾胃を強化する食材を積極的に摂取。
- 朝食にはとむぎ粥
- 間食にはなつめ
- 夕食にはやまいも料理
食事改善開始から2週間で症状が半減し、1ヶ月後にはほぼ正常な状態まで回復しました。
この事例からは、生活習慣の見直しだけでも大きな効果が得られることが分かります。
唾液過多改善のための総合的なアプローチ
唾液過多を効果的に改善するためには、原因に応じた多角的なアプローチが重要です。
中医学的には、脾胃機能の異常が根本原因であることが多く、体質改善による根本治療が最も効果的とされています。
具体的には以下の3つの柱で治療を進めることが推奨されます。
- 個人の症型に合わせた中医学的治療
- 脾胃を強化し、刺激物を避ける食事療法
- 口腔環境を清潔に保つ衛生管理
これらを組み合わせることで、症状の根本的な改善と再発防止が可能になります。
特に食事習慣の改善は即効性があり、日常生活ですぐに実践できる有効な方法です。
一方で、慢性的な症状や重篤な場合には、専門医による適切な診断と治療が必要です。
持続する唾液過多によって発音困難や睡眠障害が生じている場合は、耳鼻科・歯科・中医師への相談を強く推奨します。
唾液過多は決して治らない症状ではありません。
適切な知識と正しいアプローチを持って取り組めば、必ず改善への道筋が見えてきます。
まずは刺激物の摂取を控え、脾胃に優しい食事から始めてみてください。
そして症状が続く場合は、遠慮なく専門家に相談することで、より早期の改善と快適な日常生活を取り戻すことができるでしょう。