訪問看護が来てほしくない理由と対策は?【知恵袋】

訪問看護が来てほしくない理由と対策は?【知恵袋】

この記事について:訪問看護に対して「来てほしくない」「必要以上に来られて困る」と感じるあなたへ。その背景には、一部事業者の不正請求や営利優先の提供のされ方が関わっています。制度の現状と、あなたが知っておくべき対策をわかりやすく解説します。

訪問看護は本来、在宅で療養する患者さんにとって必要な医療ケアを自宅で受けられる大切なサービスです。
しかし近年、一部の事業所による不正請求や過剰な訪問が社会問題として浮上し、「実は来てほしくない」「必要以上に来られて困る」という声が増えています。
この記事では、訪問看護に対する抵抗感が生まれている本当の理由と、あなたの権利を守るための対策をお伝えします。
記事を読めば、「本当に必要な訪問」と「営利目的の過剰訪問」の違いが見えてくるはずです。

訪問看護が来てほしくないのは、あなたの「わがまま」ではなく「制度の問題」かもしれません

訪問看護が来てほしくないのは、あなたの「わがまま」ではなく「制度の問題」かもしれません

最初にお伝えしたいことは、訪問看護に抵抗感を持つのは決してあなたが悪いわけではないということです。
その背景には、一部の訪問看護事業所による営利優先の姿勢と、利用者の声が十分に反映されない制度的な仕組みがあります。

重要なポイント:あなたが「来てほしくない」と感じるのは、訪問看護そのものが悪いのではなく、その提供のされ方に問題がある可能性があります。

なぜ「訪問看護に来てほしくない」という声が増えているのか

一部事業者による大規模な不正請求が明らかに

2024年、日本の訪問看護業界で総額28億円規模の不正請求事件が報じられました。
これは単なる一事業所の問題ではなく、ホスピス型住宅などで組織的に行われていた不正行為です。

典型的な不正手口

  • 訪問時間の水増し:実際には約15分の滞在時間を「30分以上」と記録し、過剰な報酬を請求
  • 複数名訪問の虚偽:1人での訪問なのに「2人で訪問した」と記録して加算請求
  • 一律の高頻度訪問:利用者の医療的必要性に関係なく、全員が「1日3回訪問」と機械的に決定
  • セット契約の強制:施設への入居と同時に訪問看護が自動的に組まれ、本人の希望が確認されない

こうした手口が横行していた背景に、「儲かるから訪問する」という発想があったのです。
つまり、利用者の医療的必要性ではなく、事業所の利益が最優先されていたということです。

医師への「虚偽指示書」の強要が40%に達する

日本在宅医療連合学会が2024年10~11月に実施した調査では、驚くべき実態が明らかになりました。

  • 訪問看護の指示書に虚偽・誇張した内容を記載するよう求められた医師:約40%
  • 実態以上の訪問回数や複数人訪問を記載するよう圧力を受けた医師:約37%
  • 「言うことを聞く主治医」への変更を迫られた医師:約60%

問題の本質:利用者が「本当はこんなに来てほしくない」と感じても、医師の指示書によって訪問が「医学的に正当」とされていたのです。これは医師まで巻き込んだ不正行為でした。

利用者が訪問看護を「選べない」囲い込み構造

ホスピス型住宅などの施設では、利用者が自由に訪問看護事業所を選べないという問題も明らかになっています。

同じ医師の調査で、約86%の医師が「原則として施設と併設したステーション(訪問看護事業所)しか使えない」と答えました。
これは言い換えれば、利用者には選択肢がなく、「嫌でも指定されたステーションを使わざるを得ない」という状況です。
入居と同時に訪問看護契約が自動的に結ばれ、個々の必要性や本人の希望は確認されない──こうした構造の中では、「来てほしくない」と言いたくても言えないのです。

プライバシーと生活リズムが侵害される

制度的な問題とは別に、頻繁な訪問によって生活が乱されるという現実的な問題もあります。

  • 「一人で静かに過ごしたい」という希望が叶わない
  • 家族だけの時間を持ちたいのに、毎日複数回の訪問がある
  • 訪問の準備や対応で精神的な負担が増える
  • プライベートな空間に他者が入ることへの抵抗感

これらは医学的な「必要性」とは無関係に、人間らしい生活を送る権利に関わる問題です。

医師からの「営利優先」批判

在宅医療の現場から、次のような批判が発信されています。

「真面目にコツコツ看護しているステーションは多いが、それ以上に営利目的が前面に出たステーションが目立ってきた」という指摘があります。
利益追求型の事業所は、スタッフには高給と楽な勤務を売りにする一方で、利用者や地域との連携は後回しにしているとのことです。
「悪貨が良貨を駆逐しつつある」「公的資金(保険料)を使っている以上、その姿勢は社会的に許されない」という強い懸念も表明されています。

国が動き始めた──2026年度診療報酬改定で大きく変わる

こうした不正と過剰提供の問題を受けて、国(厚生労働省)も制度改革に動き始めました
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定は、訪問看護のあり方を大きく変える転機になると予想されています。

「過剰提供の禁止」が明確に

2025年10月1日、厚生労働省は2026年度改定に向けて訪問看護の「過剰提供」に対する規制強化方針を公表しました。

具体的には、以下が強く要請されています。

  • 訪問の日数・回数・実施時間・訪問人数は、利用者や家族の個別の状況に即し、主治医の指示書に基づいて個別に検討すべき
  • 看護師等が、利用者の個別状況を踏まえずに一律に訪問回数などを決めることは認められない
  • 医療的必要性のない訪問は、制度上正当化されなくなる方向

朗報:つまり、これからは「営利目的で一律に1日3回訪問」のような提供方法は、制度的に認められなくなるということです。

ホスピス型住宅の報酬が大幅に削減される見込み

在宅医の分析によれば、施設での訪問看護の報酬は「3分の1~2分の1程度まで下がるのではないか」と予想されています。

つまり、「頻回訪問で儲かる構造」から「過剰訪問しづらい構造」への転換が進められているのです。
これは、営利優先のビジネスモデルそのものが成り立たなくなるということを意味します。

精神科訪問看護と周産期サービスの整理

同時に、訪問看護全体の在り方も見直されています。

医療保険の訪問看護利用者では、「精神および行動の障害」が最も多い傷病であり、年々増加しています。
精神科訪問看護やひきこもり支援、周産期・子育て期の母親へのサポートなど、医療と生活支援の境界が不明確な分野について、制度上の整理が進められています。

実際の具体例──「来てほしくない」と感じる場面

具体例1:ホスピス型住宅での「セット契約」

施設に入居すると同時に、本人の希望確認なく訪問看護が組まれるケースです。

高齢者が住宅型施設に入居した際、「当施設は併設の訪問看護ステーションと契約しています」と説明されました。
本人は「医療的には自分でどうしても必要とは思わない」と感じていましたが、「入居の条件」のような形で訪問が決まってしまいました。
その後、毎日3回の訪問があり、医学的な処置はほとんどなく、「ただ様子を見るだけ」の訪問が続いているそうです。

このケースは、医療の必要性ではなく、入居契約とセットにされた不要な訪問の典型例です。
利用者本人も「本当は来なくてもいいのに」と感じていても、「施設の指定だから」と断ることが難しい状況にあります。

具体例2:「1日3回訪問」の一律適用

医療的必要性に関わらず、全利用者に同じ訪問回数が当てはめられるケースです。

別のホスピス型住宅では、入居者ほぼ全員が「1日3回訪問」で統一されていました。
軽度の方も重度の方も同じ回数で、訪問時間も水増しされていたと報じられています。
入居者の実際のニーズを見ると、重度の患者さんには必要な訪問かもしれませんが、回復傾向にある方や、定期的な健康確認だけで十分な方も同じペースで訪問を受けていました。
これは明らかに、「利益を最大化するために、必要以上の訪問を続ける」という発想から生まれた運用です。

具体例3:医師への「虚偽指示書」要求

医師が、訪問看護事業所から不適切な圧力を受けるケースもあります。

ある在宅医は、ホスピス型住宅の患者さんを診ていた際、「訪問看護指示書に『末期がん』と記載してほしい」と頼まれたそうです。
しかし、その患者さんの実際の状態は、そこまで深刻ではありませんでした。
病名を「末期」にすることで、訪問回数の根拠をより強固にする意図があったと考えられます。
医師は「医学的に正当でない記載はできない」と断りましたが、こうした圧力は業界全体で蔓延していました。
これは、医師の倫理まで侵害する行為であり、利用者が「来てほしくない」と言っても、「医学的指示」の名のもとに正当化されていたのです。

あなたが「訪問看護を減らしたい・やめたい」と感じたときにできること

自分の権利を理解する

訪問看護はあなたの同意があって初めて成立するサービスです。
一方的に決められた訪問を、黙って受け入れる必要はありません。

  • 訪問看護は「利用者の医学的必要性」に基づいて決まるべき
  • 「本人と家族の状況」を踏まえた個別検討が制度上求められている
  • 利用者が「来てほしくない」という意思は、正当な権利

主治医に相談する

まずはあなたを診ている主治医に「訪問看護の頻度に違和感がある」ことを伝えてください。
制度上、訪問看護の内容は主治医の指示書に基づいています。
医師が「この方にはこの回数で十分」と判断すれば、訪問回数の見直しに応じるべきです。

質問のポイント:

  • 「この訪問の回数は、医学的には必要ですか?」
  • 「もっと少ない回数では対応できませんか?」
  • 「私の状態では、この頻度が本当に必要な理由を教えてください」

ケアマネジャーに相談する

介護保険を利用している場合、ケアマネジャーは利用者の権利を守る立場にあります。
「訪問看護の頻度が多すぎる」「来てほしくない」という気持ちを伝え、適切な訪問内容に調整するよう依頼してください。
ケアマネジャーは、医師、訪問看護事業所、利用者の間で調整する役割を担っています。

訪問看護事業所を変える

「囲い込み」状態にあり、選択肢がないと感じている場合でも、実際には訪問看護ステーションは複数あります
主治医やケアマネジャーに「別のステーションでの訪問を希望する」と伝えることができます。
制度上、利用者には訪問看護事業所を選ぶ権利があります。

不正を感じたら報告する

もし「明らかに不要な訪問が続いている」「虚偽の記載があるのではないか」と感じたら、地域の福祉事務所や保健所に相談することもできます。
医療保険や介護保険の不正請求は、国民全体の負担につながります。
あなたの「来てほしくない」という感覚が、制度を守ることにもつながるのです。

訪問看護そのものは必要で大切なサービス──問題は「提供のされ方」です

この記事で指摘している問題は、訪問看護というサービス自体が悪いのではなく、一部の事業所による営利優先の提供のされ方と、利用者の意思が十分に尊重されない仕組みです。

真面目に利用者本位で働いている訪問看護師や事業所も数多くあります。
むしろ、そうした質の高いサービスを守り、営利優先の悪質な事業所を淘汰するためにも、この問題がきちんと社会的に認識される必要があるのです。

あなたの「来てほしくない」という気持ちは、制度を改善するための大切な声です

もし今、訪問看護に対して「来てほしくない」「必要以上に多い」と感じているなら、それはあなたの感覚が正常であり、制度に何か問題がある可能性が高いということです。

2026年度の診療報酬改定では、こうした不正と過剰提供に対する規制が強化されます。
その背景には、あなたのような利用者や家族、そして医師たちからの「おかしい」という声があったのです。

遠慮せず、主治医やケアマネジャーに自分の気持ちを伝えてください
「医学的に必要なのか」「本当に1日3回必要なのか」「別のステーションは選べないのか」──こうした質問をすることは、決してわがままではなく、あなたの当然の権利です。

あなたが「おかしい」と感じることが、医療制度全体をより良い方向に改善していくのです。
一人で抱え込まず、まず主治医やケアマネジャーに相談してみてください
あなたの声が、より多くの人の「本当に必要な訪問看護」につながっていくはずです。

キーワード: 訪問看護 来てほしくない