
鼻をかんだ直後に耳が詰まる感覚って、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
ちょっと気持ちの悪い症状で、つい心配になってしまいますよね。
実は、この現象には明確な医学的な理由があるんです。
風邪や鼻炎による鼻粘膜の腫れが、耳と鼻をつなぐ「耳管」の働きを妨げることで起こるのが、最も一般的な原因です。
この記事では、鼻をかんだら耳が詰まる仕組みと、その対処法を詳しく解説します。
正しい知識を身につけることで、症状が出たときも落ち着いて対応できるようになりますよ。
鼻をかんだら耳が詰まるのは耳管狭窄症が原因です

鼻をかんだ直後に耳が詰まるのは、耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)という状態が原因です。
耳管とは、耳と鼻をつなぐ直径約2mmの管で、通常はあくびや嚥下(飲み込み)の際に開閉して中耳の空気を調整しています。
ところが、風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで鼻の粘膜が腫れてしまうと、この耳管が狭くなり、正常に開閉できなくなってしまうんです。
その結果、中耳の気圧が調整できず、耳詰まりという不快な症状が生じるのです。
つまり、鼻をかんだ行為そのものが原因というわけではなく、そもそもの鼻や耳の状態に問題があり、それが鼻をかむ動作をきっかけに顕在化しているというわけなんですね。
なぜ鼻をかんだら耳が詰まるのか、その医学的なメカニズム
耳と鼻をつなぐ「耳管」の役割と構造
まず、耳詰まりを理解するためには、耳管という器官について知ることが大切です。
耳管は、中耳と鼻の奥をつなぐ細い管で、その長さは約36mmあります。
通常、この耳管は閉じた状態にありますが、あくびや嚥下のときに開いて、中耳の空気を入れ替える重要な役割を果たしています。
飛行機の離着陸時に耳が詰まる経験をしたことはありませんか?
あのときに、「あくびをすると治る」と聞いたことがあるでしょう。
これはまさに耳管が開閉することで、中耳の気圧を調整しているからなんです。
鼻炎や風邪で耳管がどのように変化するのか
風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで鼻が炎症を起こすと、以下のような変化が起きます。
- 鼻粘膜が腫れて厚くなる
- 鼻の中に粘液や分泌物が溜まる
- これらが耳管の入口を塞いでしまう
すると、耳管が正常に開閉できなくなり、あくびや嚥下をしても十分に機能しなくなってしまうんです。
その結果、中耳の気圧が低くなり、耳が詰まったような感覚が生じるわけです。
鼻をかむ行為が症状を悪化させることもある
興味深いことに、鼻をかむという行為が耳詰まりに影響を与えることもあります。
強く鼻をかむと、その圧力が耳管を通じて中耳に伝わり、中耳の圧力変化が一時的に悪化することがあるとされています。
また、「鼻をすする」という行為は、むしろ避けるべきです。
すすると、中耳の空気が鼻の方へ吸い込まれ、鼓膜がへこみやすくなり、中耳炎を誘発するリスクが高まるからです。
ですから、鼻をかむときは、片方の鼻ずつ、やさしく「ふっと」かくというのが正しい方法なんですね。
関連して発症する可能性のある疾患
耳管狭窄症が進行すると、以下のような関連疾患が発症することもあります。
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)
耳管狭窄により、中耳に液体が溜まってしまう疾患です。
耳詰まりのほか、難聴や耳鳴りを伴うことがあります。
特に幼児期~10歳頃に多く見られ、10歳以降はほとんどの場合、自然治癒するとされていますが、放置するとリスクが高まるため注意が必要です。
耳管開放症(じかんかいほうしょう)
一方、耳管が常に開いてしまう疾患もあります。
体重の急激な低下、ストレス、加齢などが原因として考えられており、70歳代にピークがあるとされています。
自分の声や呼吸が過剰に響いて聞こえるのが特徴です。
鼻をかんだら耳が詰まる症状の具体例と対処法
具体例1:風邪に伴う耳詰まり
最も一般的なケースは、風邪で鼻が詰まっているときに耳詰まりも生じるパターンです。
風邪によって鼻粘膜が腫れ、鼻汁が増加します。
この状態で鼻をかむと、一時的に耳が詰まった感じになり、耳が「ぼわ」とした不快感を覚えることが多いです。
このケースの対処法は、原因疾患(風邪)の治療を優先することです。
風邪が治れば、鼻粘膜の腫れが引き、自然と耳詰まりも解消されます。
自宅での対処としては、以下の方法が効果的です。
- あくびを繰り返して耳管を開く
- ガムを噛んで嚥下回数を増やす
- 温かい飲み物を飲んで、定期的に嚥下する
- 点鼻薬を使って鼻粘膜の腫れを引かせる
ただし、点鼻薬は医師に相談してから使用することをお勧めします。
具体例2:アレルギー性鼻炎による慢性的な耳詰まり
スギやヒノキなどの花粉症、あるいは通年性のアレルギー性鼻炎がある人は、耳詰まりが慢性化することがあります。
この場合、鼻炎の根本的な治療が重要です。
抗ヒスタミン薬の内服、ステロイド系の点鼻薬、抗アレルギー薬など、医療機関で処方される薬が効果的です。
加えて、以下の対策も有効です。
- アレルゲンの接触を避ける(花粉対策など)
- 室内の湿度を50~60%に保つ
- 定期的に耳鼻科を受診して進捗を確認する
アレルギー性鼻炎は長期戦になることが多いため、耳鼻科医と協力して、計画的に治療を進めることが大切です。
具体例3:副鼻腔炎に伴う耳詰まり
副鼻腔炎とは、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に炎症が生じる疾患です。
この場合、鼻詰まりが非常に強く、耳詰まりも顕著になることがあります。
副鼻腔炎は自宅での対処では改善しにくいため、耳鼻科での専門的な治療が必要です。
医師の処方する抗生物質や抗炎症薬、場合によっては副鼻腔洗浄などの処置を受けることになります。
症状が続いている場合は、できるだけ早く耳鼻科を受診することをお勧めします。
副鼻腔炎が進行すると、慢性化し治療に時間がかかることもあるからです。
警告サイン:医師の診察が必要な場合
以下のような症状を伴う場合は、必ず耳鼻科を受診してください。
- 耳詰まりが2週間以上続いている
- 聴力の低下を感じる
- 耳鳴りが伴っている
- 耳の痛みがある
- 耳垢が詰まっている可能性がある
これらの症状がある場合、単なる耳管狭窄症ではなく、中耳炎やメニエール病、あるいは稀ですが腫瘍などの可能性もあります。
内視鏡検査などの精密検査が必要になることもあるため、自己判断せずに医療機関に相談してください。
医学的な治療法と専門家が推奨する対処方法
基本的な治療方針
耳詰まりの治療は、原因疾患(鼻炎や副鼻腔炎)の治療を優先するというのが、耳鼻科医の共通認識です。
耳詰まりは症状であり、その根本原因は鼻の炎症にあるからです。
医療機関では、以下のような治療が行われます。
- 抗炎症薬(ステロイド点鼻薬など)で鼻粘膜の腫れを引かせる
- 抗アレルギー薬で炎症反応を抑制する
- 場合によっては抗生物質を投与して感染を治療する
耳管通気療法
もし耳詰まりが強く、ほかの治療でも改善しない場合、耳管通気療法という方法が用いられることがあります。
これは、カテーテル(細い医療用チューブ)を鼻から耳管に通し、空気を送って耳管を開く治療です。
特に滲出性中耳炎で中耳に液体が溜まっている場合に有効とされています。
自宅での推奨対処法
医師の診察を待つ間、あるいは軽い症状の場合は、以下のような対処法が推奨されます。
- あくびを繰り返す:耳管を開く最も簡単な方法です
- ガムを噛む:嚥下回数を増やすことで耳管機能が改善します
- バルサルバ法:鼻と口を閉じて、静かに息を吐く方法。ただし強くやりすぎないこと
- 温かいタオルで顔を温める:血流が改善し、鼻粘膜の腫れが軽減することがあります
ただし、バルサルバ法は間違ったやり方をすると症状を悪化させることもあるため、耳鼻科医に正しい方法を教えてもらう方が安全です。
鼻をかんだら耳が詰まるのは医学的に説明できる現象です
鼻をかんだら耳が詰まるという現象は、決して珍しいものではなく、多くの人が経験しています。
その原因は、風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで鼻粘膜が腫れ、耳と鼻をつなぐ「耳管」がうまく機能しなくなるからです。
この状態を耳管狭窄症と呼びますが、多くの場合は一時的なものです。
鼻の炎症が治まれば、自然と耳詰まりも解消されることがほとんどです。
ただし、以下のような場合は医師の診察が必要です。
- 症状が2週間以上続いている
- 難聴や耳鳴りを伴っている
- 自宅での対処法では改善しない
正しい知識を持つことで、症状が出たときも落ち着いて対応でき、必要に応じて適切な医療機関を受診することができます。
耳詰まりは不快な症状ですが、その背後にある医学的なメカニズムを理解すれば、怖いものではありません。
もし症状が気になるようでしたら、ぜひ耳鼻科医に相談してみてください。
今できることから始めましょう
耳詰まりを感じたときは、まずは落ち着いて、この記事で紹介した自宅での対処法を試してみてください。
あくびやガムを噛むなど、簡単な方法からでいいんです。
そして、症状が続く場合は、早めに耳鼻科を受診することをお勧めします。
耳鼻科医なら、あなたの症状を詳しく調べ、最適な治療方法を提案してくれます。
耳詰まりは、きちんとした対処をすれば、ほとんどの場合改善します。
症状がなくなれば、日常生活の快適さも大きく変わりますよ。
あなたの健康と快適な日常を取り戻すために、ぜひ今からアクションを起こしてください。
その一歩が、より良い明日へ繋がります。