
愛犬の後ろ足をかばう姿を見ると、とても心配になりますよね。
軽い捻挫や肉球の損傷なら、数日の安静で自然回復する可能性があります。
しかし、すべての後ろ足びっこが「すぐに治る」わけではなく、椎間板ヘルニアや靭帯断裂などの深刻な疾患が隠れていることもあります。
この記事では、どのような場合なら自然回復が期待でき、どのような場合に獣医師の診察が必要なのかを明確に解説します。
愛犬の症状を正しく判断できるようになれば、適切な対応で早期に改善できるはずです。
犬の後ろ足びっこ、本当にすぐ治るのか

軽度の捻挫や肉球損傷なら2~3日の安静で改善する可能性がありますが、症状が3日以上続く場合や痛みの程度が強い場合は、早急に獣医師の診察を受けるべきです。
すべての後ろ足びっこが「すぐ治る」わけではなく、関節疾患や神経異常など、放置すると悪化する可能性のある原因も多くあります。
犬の後ろ足びっこの主な原因を徹底解説
すぐに治る可能性が高い原因
軽い捻挫
散歩中に着地を間違えたり、ジャンプの着地で足をくじいたりすることで発生します。
軽度の捻挫は炎症が軽く、安静にしていれば2~3日で改善するケースがほとんどです。
愛犬の様子を見ながら、激しい運動を避け、静かに過ごさせることが重要です。
肉球の損傷や異物刺入
散歩中にガラス片や棘が肉球に刺さったり、肉球が軽く傷ついたりすることがあります。
熱感や腫れがなく、異物が取り除ければ、数日で自然回復することが多いです。
ただし、異物が深く刺さっている場合や感染の兆候がある場合は、獣医師の診察が必要になります。
爪の割れや破損
走ったり遊んだりするときに爪が割れることがあります。
軽度の爪の割れなら、時間とともに成長して改善しますが、出血や感染がある場合は注意が必要です。
放置すると危険な原因
前十字靭帯断裂
膝の安定性を保つ前十字靭帯が完全に断裂した場合、痛みが強く歩行が困難になります。
ジャンプ時の着地で急に痛がる、足をまったく地につけられないといった症状が見られたら、靭帯断裂の可能性が高いです。
この場合は手術が必要になることもあり、安静だけでは改善しません。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝のお皿の骨が正常な位置からずれる疾患で、特に小型犬に多く見られます。
症状が繰り返す場合や、歩行に継続的な異常がある場合は、グルコサミンなどのサプリメントで対応することもありますが、重症では手術が必要です。
椎間板ヘルニア
ダックスフンドなど胴長種に多発する疾患で、脊椎の椎間板が飛び出して神経を圧迫します。
足を引きずる、後ろ足が麻痺気味になる、激しく痛がるといった症状が特徴です。
この疾患は自然回復が難しく、安静や薬物療法、場合によっては手術が必要になります。
股関節形成不全
大型犬(ラブラドールやジャーマンシェパードなど)に多い遺伝性疾患です。
成長とともに症状が悪化する傾向があり、安静だけでは進行を止められません。
早期発見と適切な治療が長期的な生活の質を保つために重要です。
関節炎や骨肉腫などの炎症・腫瘍
加齢に伴う変形性関節症や、より深刻な骨肉腫の可能性もあります。
痛みが徐々に悪化する、腫れが続く、食欲が低下するといった症状が見られたら、すぐに獣医師の診察を受けてください。
獣医師の診察が必要な症状の目安
すぐに病院に行くべき危険信号
以下の症状に当てはまる場合は、できるだけ早く獣医師の診察を受けてください。
- 後ろ足びっこが3日以上続いている
- 痛みで鳴く、触らせない、激しく痛がる様子が見られる
- 足が著しく腫れている、熱感がある
- 後ろ両足に異常がある(片足だけでなく両足に症状が出ている)
- 足をまったく地につけられない、または足がふらつく
- ジャンプができない、段差の上り下りができない
- 立ち上がるときに痛がる、時間がかかる
- 食欲が低下している、元気がない
- 排尿や排便に異常がある
様子を見てもよいケース
以下の場合は、24~48時間の安静で様子を見てもよいでしょう。
- 散歩中に転んだ直後で、その直後だけ痛がる
- 熱感や腫れがまったくない
- 少しずつ足をつくようになっている
- 食欲や元気に変化がない
- 異物が見当たらない(肉球が正常に見える)
自宅でできる応急処置と安静の方法
まず確認すべきこと
後ろ足びっこに気づいたら、まずは落ち着いて足をよく観察してください。
- 肉球をチェック:異物が刺さっていないか、傷がないかを確認
- 爪を確認:割れていないか、欠けていないかを見る
- 腫れと熱感を確認:足全体に腫れや異常な熱がないかを確認
- 痛みの程度を観察:触れるとき痛がるか、どの部分が痛いかを注視
無理に足を動かさたり、無理にマッサージしたりしないでください。
痛みが強い場合は、獣医師の指示なしに自己判断で処置すると、症状が悪化する可能性があります。
軽度と判断した場合の安静の方法
安静が最も重要な治療です。以下の方法で環境を整えてください。
- 激しい運動を禁止:散歩は短時間の排泄程度に限定し、走ったり遊んだりさせない
- 床の滑り止め対策:フローリングは足に負担がかかるため、ラグやマットを敷く
- 段差を避ける:階段の上り下りや高い家具への飛び乗りを避けさせる
- クッション性のあるベッド:足に負担をかけない場所で休ませる
- 温湿布の活用:獣医師の指示があれば、患部を温める(冷やすべきかは診察で判断)
犬の後ろ足びっこの具体例と対応方法
具体例1:散歩後に後ろ足をかばう小型犬のケース
状況:3歳のトイ・プードルが普通の散歩から帰宅後、右後ろ足をかばい始めた。
観察されたこと:
- 足をつくときにビッコを引いている
- 肉球に異物は見当たらない
- 腫れや熱感はない
- 食欲は正常
対応と結果:
軽い捻挫の可能性が高いと判断し、24時間の安静と床のマット敷きで対応しました。
2日目には足をつく頻度が増え、3日目にはほぼ正常に歩くようになりました。
この場合、自然回復で十分でしたが、もし1週間症状が続いていたら獣医師に相談すべきでした。
具体例2:段差から落ちて急に痛がるケース
状況:5歳のラブラドール・レトリーバーがソファから落ちた直後、右後ろ足をまったく地につけなくなった。
観察されたこと:
- 足をまったく地につけられない
- 激しく痛がり、触らせない
- 足を動かそうとすると鳴く
- 肉球や爪には明らかな異常がない
対応と結果:
すぐに動物病院に連れていきました。
レントゲン検査で前十字靭帯の部分断裂が診断され、消炎鎮痛薬で痛みを軽減しながら様子を見ることになりました。
症状の程度によって手術が必要になる可能性もあり、早期受診が重要でした。
具体例3:繰り返し足をかばうケース
状況:2歳のチワワが時々右後ろ足をかばう症状を繰り返している。
観察されたこと:
- 症状が時々消え、時々出現する
- 特に走った後に症状が出やすい
- 足の腫れはないが、関節部分が硬い感じがする
- 小型犬である
対応と結果:
動物病院で詳しく検査した結果、膝蓋骨脱臼(パテラ)が診断されました。
軽度だったため、グルコサミンなどのサプリメント、体重管理、運動制限で対応することになりました。
重症化を防ぐため、定期的な検診と運動管理が継続的に必要です。
犬の後ろ足びっこを予防するための対策
生活環境の改善
多くの後ろ足びっこは予防できます。以下の対策を実施してください。
- 床の滑り止め対策:フローリングに滑り止めマットやカーペットを敷く(特に高齢犬)
- 段差の緩和:ソファやベッドへのステップを設置する
- 肥満対策:適切な食事と運動で体重を管理(肥満は関節への負担を増加させる)
- 爪・肉球のケア:定期的に爪を切り、肉球をチェックする
適切な運動と体重管理
適度な運動は関節の健康を保つために重要ですが、過度な負荷は禁物です。
- 犬種に適した運動量:大型犬でも激しいジャンプを繰り返させない
- 成長期の注意:成長途上の大型犬は、靭帯が完成していないため激しい運動を避ける
- 高齢犬への対応:シニア犬は運動量を段階的に減らす
- 体重管理:肥満は関節疾患のリスク要因。定期的に体重を測定し、獣医師と相談
定期的な健康診断
特に大型犬や高齢犬の場合は、定期的な健康診断が後ろ足びっこの早期発見につながります。
- 股関節形成不全の早期発見:特に大型犬の場合、若いうちから検査を受ける
- 関節の状態チェック:年1~2回の検診で関節の異常を早期に発見
- 遺伝性疾患のスクリーニング:ブリーダーから詳しい遺伝情報を確認
まとめ:犬の後ろ足びっこ、いつまで様子を見るべきか
犬の後ろ足びっこは、軽い捻挫や肉球の小さな損傷なら2~3日で自然回復する可能性があります。
しかし、すべての後ろ足びっこが「すぐに治る」わけではありません。
3日以上症状が続く、激しく痛がる、両足に症状が出ているなどの場合は、椎間板ヘルニアや靭帯断裂など、放置すると悪化する可能性のある疾患が隠れているかもしれません。
正しい判断をするために、以下のポイントを覚えておいてください:
- 軽度の場合は、安静で様子を見てよい(24~48時間)
- 3日以上続く、または痛みが強い場合は獣医師に相談
- 自己判断の処置は避け、疑わしい場合はプロに頼る
- 定期的な健康診断と環境整備で予防することが重要
愛犬の様子をよく観察し、必要に応じて早めに獣医師に相談することが、長期的な健康を守る最善の方法です。
あなたの愛犬の健康を守るために、今できることがあります
愛犬の後ろ足びっこに気づくと、心配になるのは当然です。
ですが、軽い症状でも正しく対応することで、早期に改善できるケースがほとんどです。
この記事で紹介した判断基準を参考に、まずは愛犬の症状をよく観察してみてください。
24~48時間の安静で改善するかどうかを見守ることが、次のステップへの重要な判断材料になります。
症状が続く場合や、少しでも不安に感じたら、迷わず獣医師に相談してください。
プロの診察と正確な診断が、愛犬の長期的な健康を守る最大の保険です。
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予防と早期対応が、愛犬との幸せな日々を長く続けるための鍵となるのです。
あなたの愛犬が元気に走り回る姿を、また見られることを願っています。